咳止めによる聴覚異常のおはなし
2019年 12月 15日 日曜日
すっかり寒くなり、風邪をひきやすい季節となりました。
風邪やインフルエンザなどで病院を受診される方も多くなってくるのではないでしょうか。
今回は、風邪で病院を受診し、処方された咳止めで、少しかわった聴覚異常がでた体験についてお話しようと思います。
数年前に、風邪をひいて、クリニックでいくつかお薬を処方してもらい服用していました。
薬を服用し、翌日朝、アラームで目が覚めたところ、その音に違和感を覚えました。
ここで突然ですが、私は絶対音感を持っており、身近な音が全て音階で聴こえます。
このとき、アラームの音が半音下がって聴こえたのです。
最初は携帯が壊れたのかな?と思ったのですが、ピアノを弾いて確認したところ、確かに半音下がって聴こえました。
ネットで調べたところ、咳止め薬であるベンプロペリンリン酸塩の副作用の可能性であることがわかりました。
現在の添付文書上には、頻度不明で「聴覚異常(音感の変化等)」の報告が記載されています。
服用中止後、1日ほどで症状が改善されましたが、長い人は2週間程度かかるとの報告もあるそうです。
この薬は、咳止めとして用いられるため、風邪が改善して数日間で服用が終わってしまいます。「風邪のせいで音が変に聞こえるようになった」とか「気のせいかな」などと済ませてしまって、見逃されている可能性もあります。
他にはカルバマゼピンでも似たような副作用の報告があるようです。
この副作用がでたときは、音の聴こえ方について、違和感がつきまとい、とても不快でした。
そして、「服用中に音楽の演奏予定がなくてよかったなぁ」と思いました。
この副作用は、絶対音感がない人でも、音楽を趣味や仕事でやっている方にはかなりの影響があるでしょう。演奏の機会というのは、個人練習の場合もあれば、発表、ライブ、あるいは人生をかけたオーデイションなどさまざまです。特に大事な演奏を控えている方には、かなり支障の出る副作用だと考えられます。
フラベリック錠の服薬指導の際には、「音楽を演奏される機会はありますか?」「音が半音さがって聞こえてしまう副作用があります。服用をやめれば数日で直ります。」などといった指導を行うことで、不快な副作用から音楽関係者を守ることができるかもしれません。
Posted by pharmacist008.
カテゴリー: コラム.