「乳鉢のはなし」
2012年 5月 12日 土曜日
調剤薬局の記憶を振り返ると、寒い冬は風邪の患者さんがいっぱい来局される季節。
小児クリニックが近くにあるような薬局では、待合室はぐったりしたお子さんを抱きかかえた親御さん達であふれかえります。
お子さん用の風邪薬といえばほとんどは粉薬。(もっと小さいお子さんだとシロップになりますが)
そして、咳を抑える薬、鼻水を抑える薬など何種類も出される粉薬を飲みやすいようにひとつに混ぜるときに活躍するのが
乳鉢です。
機械化や電子化の流れでどんどんと進化する調剤室内で、おそらく誕生したときから変わらぬ姿であろう少しベージュがかった白い陶器のお椀。
機能も粉薬を均一に混ぜるだけという単純なものですが、調べてみるとこの乳鉢による混合操作に関する文献なども出されている様子。
乳棒が粉を切るように回転することによる剪断、粉が乳鉢に押し付けられて縦回転する対流、そして運動による拡散。その効果が合わさって、粉薬が均一に混ざるのだそうな。
粉薬を棒でぐるぐるかき混ぜるような一見単純な操作にも、細かい検討がされていることに驚きです!!
当時はそんなことに思いを巡らせる暇もなく、ぐったりしたお子さん達の一群を前に薬を混ぜてはお出しするのに精一杯でした。
さて、暖かくなってきましたが、しっかり栄養と休養をとって、
体調を崩されませんようお身体お気をつけください。
Posted by pharmacist008.
カテゴリー: コラム.