赤いくすりの話

2011年 2月 1日 火曜日

“良薬は口に苦し”とか言っても、誰だって苦い味、まずい味は嫌いです。

・・・でも、薬は美味しくない方が良いかもしれませんよ?

 

昔々、病院に行った幼稚園児(つまり私)に、先生は「赤いシロップ」を処方してくれました。

きれいな「いちご色」、目がクギ付け。夜、スプーンで飲ませてもらった味に「わぁ~ おいしいっ!」

心ウキウキ、至福の時。一瞬でシロップの虜です。

 

「これは薬でジュースじゃない」と親は言ったそうですが、子供の耳をあっさりスルー。

“美味しい味”ならノープロブレム。その子は、そんなザックリした性格でありました。

 

ちょっとちょっと?!

そんなに美味しいシロップ、ありましたっけ? 聞いたことないのですが?

・・・はい、確かに。

 たぶん、味や香りが大好きなアメに「少しだけ似ていた」せいだと思います。

 

さて、心ウキウキ薬の時間。でも飲めるのは毎回スプーンでちょっぴりだけ。

スプーンは親が握ってます、でも、もっと飲みたいです。でもでも、シロップは高い棚の上...。

 

親がいない隙に、当然のようにお宝ゲットに奮闘。飛んだり跳ねたり、オモチャを放り投げたり。

偶然にもシロップのボトルは棚から落ち、子供は固く閉まったフタを歯でくわえて開け(もはや野生児)、幸せにクピクピと飲み干したことは言うまでもありません。

 

しばらくは赤いシロップを味わう日々でしたが、いつの間にか薬の時間はなくなっていました。

 

赤いシロップは【アリ○ジン】という名前でした。

当時の園児は薬剤師となり、薬の危険性を十分に学習。

薬を飲み干した過去を思い出し、「あぁ、薬の味は美味しくちゃいけないんだ! まずい味くらいがいいんだ!」と痛感。

“まずい味”に、安易な服薬や過量服薬を防止する役目があることを理解したのでした。

 

補足:

死んだように眠る子供と、転がる空っぽのボトル...。

親は仰天しDrに連絡。そこで、『カキ氷用のイチゴシロップ』が、「当時の」のアリ○ジンと味・香りともにそっくりであることを知ったそうです。

 

つまり、ある時点から、イチゴシロップと薬を交互に飲まされていたということでした。

親に聞かされ「えぇ?!そうだったの?!」

・・・この衝撃・・・思わず苦笑です。