くすりの保管のはなし
2015年 7月 15日 水曜日
これから本格的な夏に向かい旅行やレジャーなど楽しみも多い季節です。薬の飲み忘れの注意とともに保管も気をつけないと、効能が弱まることがあります。せっかく購入した薬をダメにしてはもったいないですよね。薬の使用期限は未開封の状態で正しく保管されたときの目安です。保管方法が悪いと、効果がなくなるばかりでなく、場合によっては体に有害な影響を与えることもあります。そこで、薬の保管で気をつけるべきポイントをご紹介します。
一般的に薬は室温保存であれば30度以下、冷蔵保存であれば15度以下で、凍るような場所は基本的にはNGとされています。温度が10度あがれば、薬が分解され、変質する速さは、2〜3倍にもなると言われているからです。
炎天下の車内は、50から80度近くになるので、特にこの時期は、車の中に放置するのは危険。家の中でも、窓近くの場所などは、気温が上がりやすいので、置きっぱなしは要注意です。
■熱に弱い薬の保管は要注意!
薬の中でも特に熱に弱いものがあります。
☆カプセルはゼラチンで出来ているものがほとんどです。ゼラチンは食材と同じで、温度が40度以上になると溶けやすくなってしまいます。 特に梅雨時や夏場など多湿や高温の時期には、ソフトカプセルの薬は、カプセルが軟らかくなったり、カプセル同士が張り付いたりします。
☆ 糖衣錠とは、甘みのある糖分などでくすり成分をつつみ、服用しやすくしたおくすりです。暑くムシムシした時期、湿度85%を超すと、おくすり表面の糖分は湿気を吸ってベタベタしたり、色が変ったり、形がくずれることもあります。また、冷蔵庫から出した時に、室温との温度差から起こる結露のため、糖衣が溶けたり、はがれたりする可能性があります。
■おくすりの保管方法
<光を遮断できる容器に保管しましょう>
多くの薬は、開封したままにしておくと空気中の酸素と光による変化が進み、効き目がなくなったり変色したりします。特に、茶色の容器に入っているお薬は、光を避ける必要のある場合が多いので、熱とともに、光を避けるように保管することが、薬の効果を十分に発揮出来る方法です。
<冷蔵庫の中などの涼しい場所に保管しましょう>
高温だと薬の変質する速度が速くなりますので、少なくとも30℃以下、できれば15℃以下で保管して下さい。
特に夏の暑い日に、自動車の中などに薬を置き忘れないように注意しましょう。
但し、0℃以下では凍結してしまいますので避けて下さい。
<乾燥剤を入れた缶などに保管しましょう>
湿度の高い時期には、粉薬や顆粒は固まったり変色したりすることがあります。
錠剤でも変色することがあります。特に病院でもらった粉薬の保管には注意して下さい。
<乳幼児・小児の手の届かない所に保管しましょう>
乳幼児・小児の誤飲に注意し、薬を入れておく缶のふたは小児が開けられないものを選んで下さい。また、不要の薬を捨てる時も子どもの目に触れないようにしましょう。
<他の容器に移し替えないようにしましょう>
薬を他の容器に入れ替えると内容や使い方がわからなくなります。薬袋や薬の外箱、説明書は薬と一緒に保管しましょう。
<古くなった薬は捨てましょう>
飲み残した薬や使用期限を過ぎた薬は捨てましょう。薬の有効期限の一応の目安は次の通りです。但し、薬自体は有効であっても、一度服用を中止して保管していたお薬を再び前と同じように使用して良いか否かは医師、薬剤師の判断が必要です。
粉薬・顆粒:3~6カ月 カプセル:6カ月~1年
坐薬:6カ月~1年 軟膏:6カ月~1年 錠剤:6カ月~1年
参考資料:医薬品医療機器総合機構 『知っておきたい薬の知識(平成26年10月)』
Posted by pharmacist008.
カテゴリー: コラム.