口腔アレルギー症候群(OAS)についてのおはなし
2020年 3月 1日 日曜日
果物や生野菜を食べた時に、口の中でかゆみや腫れ、喉のイガイガが起きることがあります。
これは口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome)と呼ばれるアレルギー反応の一種であり、花粉症との関連性が報告されています。
果物・生野菜アレルギーについて、症状や原因、対策について見ていきましょう。
◆症状
リンゴやモモ、ナシなどの果物や、生野菜や大豆(豆乳)を食べてから数分以内に、唇や舌、口の中やのどに、かゆみや痺れ、イガイガや腫れなどの症状が起きます。
たいていは食後しばらくすると自然におさまります。
◆原因
果物や生野菜に含まれるアレルゲンが口の中の粘膜に触れ、アレルギー反応が起こることが原因です。
果物、生野菜のアレルゲンは花粉のアレルゲンと構造が似ているため、花粉症の人はこれらに対しアレルギー反応が起こりやすいと言われています。
◇花粉との関連が報告されている食べ物
カバノキ科【シラカバ・ハンノキ・オオバヤシャブシ】…リンゴ モモ ナシ サクランボ キウイフルーツ ジャガイモ ニンジン 大豆 ピーナッツ アーモンド等
ヒノキ科【スギ】…トマト
イネ科…メロン スイカ キウイフルーツ オレンジ トマト ジャガイモ等
キク科【ヨモギ】…マンゴー ニンジン セロリ等
キク科【ブタクサ】…メロン スイカ キュウリ バナナ等
しかし、花粉症でなくても発症することもあります。ゴム手袋(ラテックス)過敏症の人は、パイナップルやバナナなどの果物を食べた際に同様にアレルギー反応を起こすことがあります。
◆対策
花粉症の方で、食事の際に口の中に症状が認められた場合は、医療機関でアレルギーの原因食物を確認し、今後食べるのを避けるといった対策があげられます。
また、加熱や加工処理も対策の一つとして挙げられます。
果物や生野菜のアレルゲンは熱に弱いため、加熱や加工(缶詰など)をすることで食べることができるといった例もあります。症状の程度を医師に相談することが望ましいです。
◇口腔アレルギー症候群と食物アレルギーとの相違点
食物アレルギー | 口腔アレルギー症候群 | |
感作経路 | 食物が腸管から
吸収されて感作 |
花粉の吸入により感作 |
代表的な原因
となる食品 |
卵・牛乳・小麦・魚など | 花粉のアレルゲンタンパクと
類似したタンパクを含む 果物・野菜 |
アレルゲンの特徴 | 熱や消化酵素に対して
安定したタンパク質 |
熱に不安定で消化されやすい
タンパク質 |
症状を誘発する
箇所 |
消化管での吸収により発症 | 口腔粘膜で発症 |
症状 | 主に全身症状 | 口唇、口、のど |
いわゆる食物アレルギーの特徴としては、症状にじんましんや湿疹、下痢などの全身症状が現れ、重篤化しやすいことがあげられます。
また、アレルギーの原因物質は牛乳や卵、小麦などの熱や消化酵素に強いタンパク質であり、小腸から吸収されやすいという点が特徴です。
Posted by pharmacist008.
カテゴリー: 日記.