アルコールにまつわるお話

2022年 1月 1日 土曜日

明けましておめでとうございます。

年が明け、新年会の準備を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここで活躍するのがアルコール!!

個人的には度数14ぐらいで赤褐色になったのが好きなのですが・・・これからお話しするのはアルコールはアルコールでも医薬品のアルコールについてです。

 

 

アルコールと手指消毒

 

というわけで、今やどこのお店にも、ご家庭にもあるおなじみとなったアルコール消毒剤と手指消毒についてお話していきます。

ポンプ式になっていてワンプッシュすれば適量が出て手全体に塗り広げるのが基本です。

手で押すタイプや足でペダルを踏むタイプはシッカリと押し(踏み)さえすれば、およそ3mL出るはずです。

3mLあれば、手全体に塗り広げることができます。

手指消毒で薬液の量と効果を比較した試験では、3mLあれば十分に効果があり、2mL、1mLと少なくなるにつれて効果が減少(消毒が不十分)していることが、報告されています。

では3mLがどのくらいかというと、手の平を窪めてもこぼれそうになるぐらいなので相当多く感じるはずです。

電動の機械では明らかに少ないものもありますので、面倒でも2回、3回噴霧させて消毒してください。

 

 

アルコールとエタノールと酒税のお話

 

医療の現場で消毒用アルコールというと日本ではエタノールを指すことが多いです。欧米ではイソプロパノールが主流ですので、海外の方と話しをするとき、文献を読むときはご注意を。

海外でイソプロパノールが使われているのは、飲料できるエタノールは食料に回すことができることやコストの問題が多いと聞いています。

日本でも飲用できるエタノールには酒税がかかります。

局方エタノールの効能は消毒等となっています。消毒は外用扱いで内服ではないのですが、エリキシル剤の調剤にも使うので内服することもあります。

 

ここで、問題です。

医薬品のエタノールには酒税がかかるのでしょうか?

  • 飲用できるのでかかる
  • 効能が外用なのでかからない
  • 医薬品なのでかからない

 

答えはで酒税はかかっていません。

 

酒税のかからないイソプロパノールと比較するとエタノールは倍ぐらいするのにと思われる方もいらっしゃると思います。でも国税局に確認すると『医薬品に使われるエタノールには酒税はかかっていません。』と返ってきます。ただし、あくまでも酒税という名目ではなくて、原料として購入する際に酒税相当分として購入価格に上乗せされています。何か騙された気分ですが・・・

そこでメーカーも考えました。

飲用ではなく消毒に使うのだから、エタノールに添加物を加えて飲用不可にすれば、酒税相当額分を下げることができるのではないかと。これを『変性アルコール』といいます。

その結果、現在、売られているアルコール含有手指消毒剤の多くは『変性アルコール』にして価格を抑えています。

ちなみにピュアなエタノールの消毒用エタノールや局方エタノールのほうが同じ濃度のエタノールを使っている(より手間かかっていそうな添加物が入っている)手指消毒剤より高いのは今述べたことが理由です。

 

 

液とゲル

 

アルコール手指消毒剤には液タイプゲルタイプがあります。

どちらがよく効くのでしょうか。

結論から言うと同じです。

要は使い勝手の良いのを使ってください。

下記に両剤の特徴を簡単に記します。

・液タイプにはクロルヘキシジンなどの殺菌剤が添加されていることが多く、持続効果が期待されます。また、乾燥後がさらっとしている(中には保湿剤がべたつく製品もありますが)などがあります。ただ、手からこぼれやすく床が汚れるといったデメリットもあります。

・ゲルタイプは消毒剤が垂れにくいといった特徴があります。このため手全体に塗り広げやすいといわれています。1回の量も液タイプより少なくて済みます。デメリットとしてはゲル化剤が皮膚表面に残留するので医療従事者の方のように1日に何回も使用すると表面に膜を張ったようになって効果が落ちてくる(石鹼で洗い落とせばよいのですが)といったデメリットがあります。

 

 

エタノールの濃度の謎?

 

一般に消毒用エタノールは70%と言われています。医薬品でいえば76.9~81.4vol% (100mL中83mL)の濃度になります。この違いは?

70%というのは重量%です。76.9~81.4vol%は容量%です。したがって、エタノールの比重(温度によっても変化します)で換算するとどちらも同じものです。

 

 

コロナが流行して消毒用のエタノールが不足したのは記憶に新しいところです。

実際には、原料のエタノールは不足していなくて、製品を生産する工場のキャパシティを超えた需要によって不足したのでした。とにかく平常の10倍以上の注文が殺到したので、仮に休日返上、24時間稼働しても追いつかなかったと想像がつくと思います。

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