ノロウイルスの症状・対策・患者指導ポイント|現場で使える説明例つき

2026年 2月 16日 月曜日

ノロウイルスは、家庭や職場で一気に広がりやすい感染症です。

理由は、感染後24〜48時間で嘔吐・下痢が急に起こり、トイレやドアノブなどを介してうつりやすいからです。

本記事では、症状の目安と受診のサイン、アルコールだけに頼らない手洗い・消毒・吐物処理の具体策、薬剤師がそのまま使える説明例まで、忙しい現場でも迷わないよう要点を整理しました

 

ノロウイルスとは?どんな症状が出る?

ノロウイルスは、お腹の調子を崩すウイルスの代表格で、特に冬に流行しやすいことで知られています。

手や食べ物などを通じて体に入ると、腸の中で増えて、吐き気下痢などを起こします。

 

症状が出るまでの時間(潜伏期間)とよくある症状

感染してから症状が出るまでの時間は、一般的に24~48時間です。

主な症状は次のとおりです。

  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • お腹の痛み
  • 発熱

多くの場合、症状は1~2日ほど続いたあとに回復し、後に引くことは基本的にありません。

 

どこでうつる?感染の広がり方

ノロウイルスは感染力が強く、家庭内や施設内で二次感染が起こりやすい点が注意点です。

感染が広がる主な経路としては、次のようなケースが多く見られます。

  • トイレのあとなどに、手に付いたウイルスが口に入ってうつる
  • 感染者が調理した料理を食べてうつる
  • 牡蠣などの二枚貝を生や加熱不足で食べてうつる
  • 嘔吐物が乾いて舞い上がったものを吸い込みうつる

 

ノロウイルスの対策方法

 

ノロウイルス対策のポイントは、①手洗いをしっかり行う②食べ物はよく加熱する③汚れた場所は正しく消毒する、の3つです。

 

➀手洗い

ノロウイルス対策で特に重要なのは、石けんと流水による手洗いです。

「アルコールで消毒しているから大丈夫」と感じる方もいますが、アルコール消毒は手洗いの代わりにはならないとされています(手洗いが難しい場合の補助としての位置づけ)。

また、手洗いの際は手のひらや手の甲だけでなく、指先や爪のまわりまで丁寧に洗うことが大切です。

<手洗いのタイミング>

  • 食事の前
  • トイレの後
  • 調理の前
  • おむつ交換や嘔吐物の片付け後

参考(出典):厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」 (閲覧日:2026年2月13日)

 

➁食べ物の対策

ノロウイルスは、加熱で感染力が弱まります

「表面だけ温かい」では足りない場合がありますので、中心までしっかり熱を通しましょう。

特に牡蠣などの二枚貝は、中心部が85~90℃で90秒以上の加熱が望ましいとされています。

参考(出典):厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」 (閲覧日:2026年2月13日)

 

➂汚れた場所の消毒

ノロウイルスの対策では、床やドアノブなど、手が触れやすい場所を適切に消毒することが重要です。

このときに有効とされているのが、家庭用の「塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)」です。

ただし、消毒の効果や素材への影響は濃度によって変わるため、汚れの程度や場所に応じて濃度を使い分けることがポイントになります。

塩素系漂白剤の目安濃度

使う場所 目安の濃度
吐いたもの・便が付いた場所(床、おむつ等) 0.1%
トイレの便座、ドアノブ、手すり、床など 0.02%

参考(出典): 広島市「消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)」 (閲覧日:2026年2月13日)

塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)は刺激が強いため、手指など皮膚の消毒には使用できません。使用する際は、ゴム手袋を着用し、十分に換気しながら取り扱ってください。

使用後は、素材への影響を抑えるため、必要に応じて水拭きを行うとよいでしょう。

 

嘔吐物の片付け方法

ノロウイルスは、吐いたものや便の中にウイルスが多く含まれます。

乾くと舞い上がることがあり、片付け方が雑だと二次感染の原因になりやすいです。

次の手順を参考に、適切な処理を行いましょう。

  1. 換気(窓を開ける、空気の流れを作る)
  2. 手袋マスクエプロンを着ける(使い捨てが理想)
  3. ペーパータオル等で、外から内へ静かに拭き取る
  4. 使ったものはビニール袋に入れて密閉して捨てる
  5. 汚れた周囲は、塩素系消毒液で浸すように拭く
  6. 片付け後は、必ず石けんと流水で手洗い

参考(出典):目黒区「家庭でできるノロウイルスの消毒方法」(閲覧日:2026年2月13日)

 

薬剤師目線での患者指導

ノロウイルスによる吐き気や下痢の症状があるものの、医療機関を受診すべきか判断に迷って薬剤師に相談される患者もいます。

薬剤師として、自宅での過ごし方や気を付けるべきポイントを、できるだけ分かりやすく伝えましょう。

 

脱水を防ぐ声かけを最優先に

ノロウイルスは特効薬がなく、基本は水分と栄養の補給をしながら回復を待つ形になります。

特に、乳幼児や高齢者は脱水になりやすく、脱水がひどい場合は点滴が必要になることもあります。

伝え方

  • 「つらい時ほど、少しずつでいいので水分を取ってくださいね。」
  • 「お子さんやご高齢の方は、脱水が心配なので、無理せず早めに医療機関に相談してくださいね。」

 

「下痢止め、飲んだ方がいい?」と聞かれたら

厚生労働省の見解では、下痢止めは回復を遅らせる場合があるため、使用しないことが望ましいとされています。

下痢を早く止めたいというお気持ちに共感しつつ、早期回復のためにも使用を避けるように伝えましょう。

伝え方

  • 「下痢止めは、体の回復を遅らせることがあるので、まずは水分補給を優先しましょう。」

参考(出典):厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」 (閲覧日:2026年2月13日)

 

家族にうつさない“生活のコツ”をセットで伝える

ノロウイルスは、家庭内で広がりやすいので、患者さん本人だけでなく「家族を守る」視点が大事です。

家族がよく触れる箇所の消毒方法や嘔吐してしまったときの処理方法などを伝えてください。

伝え方

  • 「ご家族に感染が広がらないように、全員で手洗いを徹底してください。」
  • 「ドアノブやトイレなど、よく触る場所は塩素系漂白剤で消毒してください。」

 

まとめ

ノロウイルスは、感染から24~48時間ほどで嘔吐や下痢、腹痛などの症状が現れやすく、多くは1~2日程度で回復に向かいます。

一方で、家庭内や施設内で広がりやすいため、日頃からの手洗いの徹底と、食材の十分な加熱、吐いたもの・便の適切な処理がとても大切です。

このような感染症対応の場面では、「相手の不安に寄り添いながら、必要な情報を整理して分かりやすく伝える力」が、患者さんの安心と適切な行動につながります

EPファーマラインでは、メディカルコミュニケーターとして製薬企業の「くすり相談」窓口を担い、全国の医療従事者だけでなく患者様からの問い合わせにも対応し、医療を支える仕事に携わっていただきます。

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葛根湯とは?風邪の初期に効く漢方薬の正しい使い方

2025年 12月 15日 月曜日

寒くなる季節、ドラッグストアの風邪薬コーナーでよく見かけるのが「葛根湯(かっこんとう)」です。

パッケージには「風邪の初期に」と書かれていることが多く、手に取ったことがある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、葛根湯の成分や効果、服用タイミング、体質との相性、そして選び方の注意点までをわかりやすく解説します。

 

葛根湯とは

葛根湯は、風邪の初期症状に用いられる代表的な漢方薬です。

寒気や頭痛、首や肩のこわばりなど、「風邪をひき始めたかな?」というタイミングで服用することで、症状の悪化を防ぐ効果が期待されています。

漢方薬は、複数の生薬(しょうやく)を組み合わせて作られる自然由来の薬で、体のバランスを整えながら症状を改善するという考え方に基づいています。

葛根湯もその一つで、体を温めて発汗を促すことで、風邪の初期症状を緩和する働きがあります。

 

葛根湯は漢方薬?生薬との違いを解説

「葛根湯は漢方薬?それとも生薬?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

漢方薬複数の生薬を組み合わせて作られた薬

生薬植物や鉱物、動物などの天然素材から薬効のある部分を加工したもの。漢方薬の原料

つまり、葛根湯は漢方薬であり、その中に含まれる「葛根」は生薬です。

 

葛根湯に含まれる7つの生薬とその役割

葛根湯には、以下の7種類の生薬が配合されています。それぞれの役割を簡単に見てみましょう。

これらの生薬がバランスよく配合され、風邪の初期症状に働きかけます。

生薬名

主な作用
葛根(かっこん) 発汗を促し、筋肉のこわばりを和らげる
麻黄(まおう) 発汗・解熱作用、気管支拡張
桂皮(けいひ) 体を温め、血行を促進
芍薬(しゃくやく) 筋肉の緊張を緩和、鎮痛作用
甘草(かんぞう) 炎症を抑える、他の生薬の調整役
大棗(たいそう) 滋養強壮
生姜(しょうきょう) 体を温め、吐き気を抑える

 

葛根湯が効かない?それ、タイミングの問題かも

「葛根湯を飲んだけど、あまり効かなかった…」という声を耳にすることがあります。

実は、服用するタイミング体質との相性が、効果を左右する大きなポイントです。

 

服用のベストタイミングとは?

葛根湯が最も効果を発揮するのは、以下のような症状が出始めたときです。

  • ぞくぞくと寒気がする
  • 首や肩がこっているような違和感がある
  • 頭が重く、ぼんやりと痛む
  • まだ汗は出ていない

このような「風邪の入り口」にあたるタイミングで服用することで、体を温めて自然な発汗を促し、風邪の進行を防ぎます。

一方で、すでに発熱して汗が出ている、喉が強く痛む、鼻水や咳がひどいといった風邪が進行した状態では、葛根湯の効果は期待しにくくなります。

 

 

体質との相性も重要

漢方薬は、症状だけでなく体質にも合わせて使うことが大切です。

葛根湯は、比較的体力がある人向けの処方とされており、以下のような方には合わない場合があります。

  • 虚弱体質の方
  • 高齢者で体力が落ちている方
  • 発汗しやすい体質の方

このような体質の方は、医師や薬剤師に相談の上、体質に合った別の漢方薬を選択しましょう。

 

葛根湯を選ぶときの注意点

葛根湯は複数の製薬会社から販売されており、形状・併用薬・体質との相性で選ぶことが大切です。

  • 服用しやすい形状を選ぶ(外出先なら錠剤、自宅なら顆粒など)
  • 他の薬との併用に注意(特に麻黄を含む薬との重複)
  • 持病や妊娠中の方は医師・薬剤師に相談


これらのポイントを踏まえて、ご自身にあった薬を選びましょう。

また、市販薬であっても、薬剤師に相談することで、より安全で効果的な服用が可能になります。

 

まとめ

葛根湯は、風邪の初期に効果的な市販漢方薬ですが、服用のタイミングと体質との相性が非常に重要です。

「なんだか寒気がする」「首がこってきた」と感じたら、早めの服用で風邪の進行を防ぎましょう。

一方で、症状が進んでしまった場合や、体質に合わない場合は、他の薬を検討する必要があります。

近くの薬剤師に相談してみましょう。

 

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PMS(月経前症候群)とは?症状・原因・対処法をわかりやすく解説

2025年 11月 15日 土曜日

月経前になると、気分が落ち込んだり、体がだるくなったりすることはありませんか?

それは「PMS(月経前症候群)」の可能性があります。

PMSは、月経の数日前から始まる心身の不調で、20〜40代の女性の多くが悩まされている症状です。

イライラや不安感、頭痛やむくみなど、その症状は人によってさまざま。日常生活に支障をきたすこともあるため、正しい知識と対処法を知っておくことが大切です。

本記事では、PMSの代表的な症状から原因、セルフケアの方法、医療的な治療法までをわかりやすく解説します。

毎月の不調と上手に付き合うために、ぜひ参考にしてください。

 

PMS(月経前症候群)とは?

PMS(月経前症候群)とは、月経の3〜10日前から始まる心身の不調のことです。

月経が始まるとともに症状が軽減または消失するのが特徴で、20〜40代の女性の約8割が何らかの症状を経験しているとされています。

PMSは多くの女性が悩む症状ですが、正しい知識を持つことで症状の緩和や予防につながります。

 

PMSの代表的な症状

PMSの症状は人によって異なりますが、大きく「精神的な症状」「身体的な症状」に分けられます。

まずはそれぞれの特徴を理解することが、適切な対処への第一歩です。

 

精神的な症状

PMSでは、心の不調が顕著に現れることがあります。以下のような症状が代表的です。

  • 理由もなくイライラする
  • 気分が落ち込みやすくなる
  • 不安感が強くなる
  • 集中力が低下する
  • 無気力になる

これらの症状は、ホルモンの変動によって脳内の神経伝達物質が影響を受けることで起こると考えられています。

仕事や家庭での人間関係に支障をきたすこともあるため、早めの対処が重要です。

 

身体的な症状

精神面だけでなく、身体にもさまざまな不調が現れます。

代表的な症状は次のとおりです。

  • 頭痛や腹痛
  • 肩こりや腰痛
  • 乳房の張りや痛み
  • むくみや肌荒れ
  • 強い眠気や不眠

これらの症状は、ホルモンバランスの乱れ血流の変化によって引き起こされることが多く、日常生活の質を低下させる要因となります。

 

PMSの原因とメカニズム

PMS(月経前症候群)の原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

特にホルモンの変動生活習慣の影響は、症状の出方に大きく関係しています。

 

ホルモンバランスの変化

PMSの原因の一つ主な原因は、月経周期に伴う女性ホルモンの変動です。

特に黄体期に分泌されるプロゲステロンが、脳内の神経伝達物質に影響を与えることで、気分や体調に変化をもたらします。

このホルモンの変化により、感情の起伏が激しくなったり、身体に不調が現れます。

 

ストレスや生活習慣の影響

ホルモンだけでなく、日々の生活習慣もPMSに大きく関係しています。

以下のような要因が症状を悪化させることがあります。

  • 睡眠不足
  • 偏った食生活
  • 過度なストレス
  • 几帳面で完璧主義な性格
  • 甘いものやアルコールの過剰摂取

これらの要因は、ホルモンの働きを乱すだけでなく、自律神経にも影響を与えるため、PMSの症状を悪化させる可能性があります。

 

PMSのセルフケアと生活改善

PMSの症状を軽減するためには、日常生活の中でできるセルフケアが非常に重要です。

特別な治療を受けなくても、生活習慣を整えることで症状が和らぐケースも多くあります。

 

食事・栄養面での対策

食事はホルモンバランスを整えるとなります。

以下の栄養素を意識して摂取しましょう。

  • ビタミンB6(バナナ、鶏肉、マグロなど)
  • マグネシウム(ナッツ類、豆類、海藻など)
  • 鉄分(レバー、赤身肉、ほうれん草など)

これらの栄養素は、神経の安定血流改善に役立ちます。

反対に、カフェインアルコールは症状を悪化させる可能性があるため、控えることが望ましいです。

 

運動・睡眠・ストレスケア

生活習慣の見直しも重要です。

以下のような取り組みが効果的です。

  • 軽い運動やストレッチ
  • 質の高い睡眠の確保
  • アロマや瞑想によるリラックス

これらの習慣は、自律神経を整え、ホルモンの働きをサポートします。

特に、就寝前のスマホ使用を控えることで、睡眠の質が向上し、PMSの症状緩和につながります。

 

PMSに効果的な治療法と薬

 

セルフケアだけでは改善が難しい場合、医療機関での治療や薬の使用を検討することが有効です。

症状の程度に応じて、適切な方法を選ぶことが大切です。

 

低用量ピルの活用

低用量ピルは、ホルモンバランスを安定させることでPMSの症状を緩和します。

避妊目的だけでなく、子宮内膜症や月経困難症の治療にも用いられており、産婦人科で処方されることが一般的です。

副作用や体質に応じた選択が必要なため、医師との相談が欠かせません。

 

漢方薬による体質改善

漢方薬は、体質に合わせて処方されるため、根本的な改善を目指す方に適しています。

代表的な処方には以下があります。

  • 当帰芍薬散(冷え性・貧血傾向の方に)
  • 加味逍遥散(ストレスや不安感が強い方に)

漢方は即効性よりも継続的な体質改善を目的とするため、長期的な視点で取り入れることが大切です。

 

市販薬(OTC医薬品)とハーブ療法

病院に行くのが難しい方には、市販薬やハーブ製品も選択肢となります。

代表的なものは以下の通りです。

  • 鎮痛剤(イブプロフェンなど)
  • チェストベリー配合のPMS専用サプリ

これらはドラッグストアで手軽に購入でき、症状の軽減に役立ちます。

ただし、体質や副作用に注意し、薬剤師に相談することをおすすめします。

 

まとめ

PMSは多くの女性が経験する身近な症状ですが、正しい知識と対処法を知ることで、症状を軽減することが可能です。

まずは自分の症状を把握し、生活習慣の見直しセルフケアを取り入れてみましょう。

それでも改善が難しい場合は、医師や薬剤師に相談することで、より適切な治療法を見つけることができます。

無理をせず、自分の体と向き合いながら、毎月の不調と上手に向き合いましょう。

 

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