塗り薬のはなし

2023年 12月 15日 金曜日

寒くなり乾燥の季節がやってきました。

   

医療機関から保湿剤などをもらい塗っている方も多いのではないでしょうか。

また乾燥以外にも皮膚の症状がある方もおられると思います。
皮膚の症状でよく使われる薬で塗り薬がありますが、塗り薬には様々な(剤型)があります。

 

主な剤型は以下です。

※一般的な特徴のため、個々のお薬によっては異なる場合があります。

■軟膏

一般的に油性基剤を使用し作られています。
刺激が弱く、敏感肌の人も比較的使いやすいです。
クリームに比べると伸びはよくないですが、患部にとどまりやすいです。
べたつきやすいため、使いづらいと感じることもあります。

 

■クリーム

一般的に油性基剤と水分で作られています。
水分が入っているため軟膏に比べると伸びがよく、広範囲に塗るときに使いやすいです。
軟膏に比べて刺激があるため、使いにくい人もいます。

 

■ローション

液体のため、頭部や軟膏・クリームが塗りにくいところに適しています。
アルコール成分が入っていることがあるため、刺激を感じることもあります。

 

 

これらを塗るときにちゃんと適量で塗れているでしょうか。
皮膚が吸収できる量は決まっているため、多すぎても無駄になります。
また少なすぎるとしっかりと治療ができていない場合があります。

 

そこで1つの目安として1FTUを紹介します。

FTU:フィンガーチップユニット

大人の人差し指の先から第一関節まで一直線に出した量が相当します。

 

口径が5mm程度のチューブで1FTUを取り出すと、約0.5gの量となり、大人の手のひら2枚分の範囲を塗る量と言われます。

(口径が小さいチューブタイプだと、量が変わってくるため注意が必要です。日本の医療機関から処方されるチューブタイプの塗り薬は口径が5mm未満が多いため、塗る量については医師または薬剤師にしっかりと確認してください)

ローションタイプだと、1FTUは1円玉くらいの大きさです。

 

 

適正な量を塗ることで皮膚症状の悪化予防、改善につながります。

特に医師の指示より少なすぎる量は症状の長期化リスクがあります。

皆さんも自分の症状にあった適量を確認し、皮膚症状の悪化を防ぎましょう。

浮腫みのはなし

2023年 12月 1日 金曜日

みなさまは立ちっぱなしや座りっぱなしによる足の浮腫みのお悩みはありませんか?

 

立ちっぱなし、座りっぱなしでいると浮腫みが起こってしまうのは、長時間足の筋肉を動かさないため血流が低下しているからです。足の筋肉は血液と一緒に水分も全身に送っているため血流が低下すると水分が下肢に溜まります。

 

そこで今回は浮腫みに効果のある漢方を紹介します。

漢方では水分代謝が悪く、水分の排出が停滞していることを水滞すいたいといいます。水分代謝を整えることで、浮腫みを改善する漢方にはいくつか種類があります。

当帰芍薬散とうきしゃくやくさん

水分代謝を整える働きと同時に血行を良くする働きもあります。
それにより、冷え性や生理不順も改善します。

配合生薬:当帰(血行促進)、芍薬(冷え、貧血改善)、川芎(血流改善)、沢瀉(利水作用)、茯苓(利水作用)、白朮(健胃、整腸、利尿作用)、蒼朮(健胃、整腸、利尿作用)

 

五苓散ごれいさん

水分の摂りすぎによる浮腫みや、頭痛や吐き気など二日酔いの症状にも効果があります。

配合生薬:沢瀉、猪苓(利尿、解熱、消炎作用)、茯苓、白朮、桂皮(冷え改善)

 

防已黄耆湯ぼういおうぎとう

水分代謝が悪い、疲れやすい、汗をかきやすい、水太りタイプの肥満体質の方によく用いられます。

配合生薬:防已(水分代謝促進、鎮痛)、黄耆(利水作用)、蒼朮、生姜(発汗、健胃作用)、大棗(健脾、鎮静作用)、甘草(健胃、鎮痛、鎮痙作用)

漢方を服用すること以外にも浮腫みの改善には、運動をして筋肉をつける、塩分やアルコールを控える、入浴で体を温めることなども大切です。

 

 

浮腫みがあり漢方を服用したいという方はまず医師や薬剤師にご相談ください。

 

咳のおはなし

2023年 11月 15日 水曜日

 

 

が続くとつらいですよね。

咳が続くと、体力も消耗し(実際にエネルギーを消費しています)、
ついついすぐに咳をおさめようと手を尽くしてしまいます。

 

そんな咳ですが、医学的にはいくつかの種類に分類され、
咳止めのお薬が出される場合と、そうではない場合があるようです。

※先生の診断や患者様個々の症状や状態にもよりますので、無理されずに受診してご相談ください。

 

咳とは、基本的には異物を外に出すために起こっています。
異物とは、モノや菌やウイルスなど様々です。
ただ原因が見えない、別のところにある場合もあります。別の原因がある場合は、まずそちらの対応をします。

 

「咳をとめたい」と受診して先生に伝える。

先生の頭の中では医学的に多くの情報の中から原因や対策を考えて、
最善の一手を検討してくださる。

だからこそ、大切なのは「伝え方」です。

  • 咳の有無
  • いつから続いているのか
  • 1日のうちにどの時間帯がつらいのか
  • アレルギー性鼻炎や喘息、アレルギー素因があるのかどうか
  • 咳と同じタイミングで変えた行動があるのか
  • 既往歴や併用薬など

 

また1度目の受診で咳が収まらない場合、
「その対応(薬)でおさまらない」ということも大事な情報ですので、
必ず伝えてほしいです。

 

咳とひとくくりに言っても、大変多くの種類の咳と、原因や誘因があいまってなかなかすぐに治らない場合もあります。

そんな気持ちだけでも、薬剤師として相談してもらえると嬉しいです。

医師でも薬剤師でも看護師でも医療関係の方であればきっと治療につながると思いますので、話しやすい方に相談してみてください。