子供に目薬を点すには

2021年 12月 15日 水曜日

子供に目薬を点す…これは簡単なように思えて、難易度激高なクエストといっても過言ではないでしょう。

■高難度な理由

 ・動く(場合によってはあばれる)

 ・目を開けてくれない(場合によっては、ずっと閉じている)

 ・泣く(もはや絶望)

 

暴れる子供の目に入るように液を1滴たらすのは、「2階から目薬」と同じ難易度だと思っています(実際やったことある人いるのかな?笑)。では、どのようにしたら、上手いこと目薬を点せるのか。

一般に下記の方法が言われています。

 

  • 馬乗り法

子供を仰向きに寝かせたあと、親が馬乗りになってまたがり、両太ももで頭部まで固定する方法。

股の間は子供の顔だけになるイメージです。内ももに子供の両耳があたります。

 

 

 

  • プロレス法

床に座ったあと、親の両足の間に子供を仰向きに寝かして、股で頭をはさみ、足で体をおさえる方法。

子供の両腕を両足で抑え込むことになります。子供の頭は、自分の下腹部にきます。

 

 

いやこれ、もっと暴れるし、泣くでしょ…。泣いたらもう目薬点せないよ…溢れちゃうよ…(注、前々回の記事を読んでない方は、お読みいただくと理解が深まります)

目薬で1滴十分効く?! – 薬剤師のブログ -「くすり」のはなし – (yakuzaishi-blog.net)

 

起きている間は、そうするしかないですね…。

ん?起きている間??

 

  • 寝ているときに点す

これが一番簡単・安心ですね!

大切なのは目頭に点すことです。目じりに点すと流れ落ちてしまいます。

 

これは、目薬を点そうとしても目をつぶってしまう子供にも使用できる方法です。

 

 

 

目薬に関わるお話を3回に渡って記載いたしました。

正しい点眼をしていきましょう!

 

目薬の使用期限について

2021年 12月 1日 水曜日

お読みいただいているアナタ!

正しい点眼してますか!?

前回の記事を読んでいない方は、お読みいただけると理解が深まると思います。

 

前回に引き続き、目薬のお話です。今回は目薬に関わる使用期限についてです。

 

■目次■

 1)目薬って何回つかえるの?

 2)目薬の使用期限について

 

では、順番に見ていきましょう。

 

1)目薬って何回つかえるの?

 

1回使い捨ての目薬もありますが、今回は、キャップを開け閉めして使用するものをみていきます。医療用ですと2.5mLや5.0mLの規格が多く、市販ですと12mLなどをみかけますね。では、何回使えるのか。

 

前回の記事で、目薬は1滴約0.05mLであると書きました。

医療用の2.5mL規格ですと、

2.5mL÷約0.05ml/回=約50回 です。

 

仮に1日1回点眼の目薬であれば、1ヶ月使用するのには十分な量が入っているといえます。何度か点すのを失敗しても安心ですね!

 

市販のものだと、12mL規格が多いので

12mL÷約0.05ml/回=約240回

使えるものが多そうですね。目薬をご使用の際は、添付文書をよく読んで用法用量を守って正しくお使いください。

 

 

2)目薬の使用期限について

 

点眼剤は無菌製剤であり、繰り返し使用をできるだけ避けたいものであります。

(無菌製剤は、微生物などが入っていないお薬のこと)

 

市販のものは防腐剤が入っていることが多く、使用期限を伸ばしてはいますが、まだまだ使っていない分が残っているからと何年も同じ目薬を使用してはいけません。

薬には「使用の期限」があります。

ここで間違ってはいけないのが、外箱などに書いてある使用期限は、未開封状態のものの使用期限になります。開封後は、外箱の日付が使用期限ではありません。

 

では、開封後はいつが使用の期限なのか。

市販のお薬を購入したときには、「添付文書」という薬の説明書がついてきます。

添付文書の「保管および取り扱い上の注意」という項目に開封後の使用について記載されていることが多いです。多くは、「なるべく早く使用してください」となっていますが、「開封後は2ケ月以内に使用してください」など記載されていることもあります。

 

「なるべく早く使用してください」の期限ってわからないですよね…。

用法用量から推察してみましょう。

 

例えば、

 

 

〇〇点眼液(12mL)

1回1~3滴、1日5~6回点眼してください

 

 

 

という目薬があったとしましょう。

この目薬は、どれくらいの期間で使い切るのを想定しているのでしょうか。

用法の最低量をみていきます。

 

1回1滴、1日5回点眼した場合、

1日で0.05mL/回×5回×2(両目)=0.50mL を使用します。

 

目薬(12mL)を使い切るのは、

12mL÷0.50mL/日=24日 となります。

すなわち、1ヶ月程度で使い切る想定でいます。

目薬は、使用前においては無菌状態ですが、使用すると微生物などが入るようになり、徐々に衛生面の心配がでてきます。

処方された目薬を手にした場合は、薬剤師のお話をしっかり聞き、市販の目薬の場合は、添付文書をよく読んでお使いください。

 

 

次回は、子供に目薬を点すときについてです。

目薬で1滴十分効く?!

2021年 11月 15日 月曜日

目薬の正しい点眼方法を知っていますか。

我流でやっている人がほとんどだと思いますが、正しい目薬の点し方をご紹介します。

 

まずは、よく見かける誤った点眼方法はコチラ。

 

 ・1度に何滴も使う

 ・点眼後にすぐ目を手やティッシュなどで拭く

 ・目の周りに落ちた液をなんとかして目に入れる

・点眼後にすぐ目をパチパチする

 ・いつ買ったかわからない目薬を使っている

 

 

 

心当たりはありませんか?

正しく点眼方法を知るためには、まず目の周りの構造を知っていきましょう。

 

目薬を点すイメージ

目薬は、下瞼部分を下にさげて液をたらしていきます。

この時、液体が入る部分を結膜嚢(けつまくのう)と言いますが、液体が入るのは約0.03mLといわれています。

では、目薬1滴は何mL???

 

答えは、約0.05mLになります。

すなわち、目薬を1滴目に入れると溢れるのです!

(ちなみに、涙で既に約0.007mLの液体が入っているので、余計溢れやすいです)

2滴以上たらしても、どんどん溢れていくばかりです。勿体ないですね。目薬は1滴で十分であるということがわかりました(注、使い方の指示が出ている場合はそれに従ってください)。

 

では、

目薬を点した後はどのようにしていますか。

この時、目をすぐ手でゴシゴシしたり、目の中にティッシュを入れつつ拭いてしまうと、せっかく入れた薬液を拭き取ってしまいます。

 

液が溢れてしまうので拭きたくなる気持ち、分かります。

しかし、拭いてよいのは溢れた液体だけです。

目の周りの溢れた液を優しく拭き取りましょう。

 

 

また、目薬を点すのを少し失敗してしまい、目の周りから上手いことやって、目の中に液体を移動させていくことやったことはありませんか?

実は、あの液体移動によって、目の周りに付着していたウイルスや雑菌なども一緒に目の中に入ってしまうことがあります。止めましょう。

 

 

 

でもちょっと待って!液を拭く前にやることがあります!
目薬の正しい点し方のポイントはココです!

 

 
   

⇦ココ

 

 

 

 
   

 

 

 ココ

目頭の部分を押さえる!(顎を上げて、上を向いたらもっと良い)

 

なんで押さえるの??

目の周りの構造を見ていきましょう。

手で押さえていたのはこの部分です

                                  

【目の模式図】

 

 

 

 

【目と鼻の空洞の模式図】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目と鼻はつながっています。目薬を点すと鼻水が出るのは、目の中の液体が「鼻涙管」という目と鼻をつなぐ管を通って、鼻に移動するためです。

目で効かせたいのに、すぐ鼻に行っては困ります!
そのため、点眼後は上を向いて目を閉じ、目頭を押さえる(鼻に液が移動するのを止める)ことが大切です。数分そのままが理想です。

目をパチパチさせたら、せっかく入れた液を鼻の方に移してしまうのでやめましょう。

 

これで正しい点眼ができますね!

 

 

■正しい点眼まとめ■

 ・液は1滴でよい

 ・目の中にしっかり入れる(目からこぼれたのは拭き取る)

 ・点眼後は、上を向いて目を閉じ、目頭を押さえる(数分)