糖尿病薬の意外な由来のおはなし

2020年 9月 1日 火曜日

皆様こんにちは。

 

突然ですが、皆様が普段何気に飲んでいるお薬って何をもとに生まれるかご存知でしょうか?
実は意外なところから、新しい薬が誕生することがあるのです!
今回私がお話するのは糖尿病の薬の意外な由来についてです。

 

糖尿病の薬はここ数年でめまぐるしい変化を遂げております。
現在多くの患者様を救っている多くの糖尿病薬は、私が数年前使っていた教科書には全く載っていませんでした。
ここ数年での糖尿病薬の新薬の登場は画期的であると感じます。

今回興味深いものを二つご紹介したいと思います。

 

まず一つ目に、最近主流であるインクレチン関連薬と呼ばれる薬です。

そもそもインクレチンって何でしょうか??

インクレチン(incretin)とは、インスリン(insulin)の分泌を促進する消化管 (intestine)のホルモン、INtestine seCRETion Insulin ということで名前がつけられました。

このホルモンは、食事摂取により、消化管から分泌され、膵臓のβ細胞のインスリン分泌を促進する作用を持っています。
この作用を利用したインクレチン関連薬が次々と開発されました。

インクレチン関連薬にも色々ございますが、ではどうやって薬の開発へとつながったのでしょうか?
面白いのが、エキセナチドという薬です。

この成分、なんと、もともとはアメリカ毒トカゲの唾液の分泌物から発見されました!
これが血糖降下作用を持つということが明らかとなり、これを人工合成することにより薬が開発されたのです。

毒トカゲの唾液から糖尿病の薬が生まれるだなんて誰が想像したでしょうか?

薬って何から生まれるか面白いですよね。

 

二つ目にご紹介したいのが今最も話題のSGLT2阻害薬という薬です。
そもそもSGLTとは、Sodium Glucose co-Transporter (ナトリウム・グルコース共輸送体) の略です。

腎臓の尿細管に存在するSGLT2を阻害することで、グルコースが再吸収されるのを防ぎ、血中のグルコース濃度を下げるという薬です。

ではどのようにしてこの薬は生まれたのでしょうか。

さかのぼりますと、はるか昔1835年、りんごの木の根(樹脂)からフロリジンという成分が発見されました。このフロリジンですが、後々、糖尿病動物において尿糖を誘発し、血糖を下げるということが報告されました。
ただこのフロリジンは、腎臓に存在するSGLT2だけでなく、小腸やその他全身に存在するSGLT1も阻害するため、薬としては実用化されませんでした。

ところがここ数年で、腎臓に選択的に存在するSGLT2のみを阻害すればいいのではないかと開発されたのが、選択的SGLT2阻害薬です。

これまでの糖尿病治療薬は膵臓に作用し、最終的にはインスリンを出すことで血糖コントロールを改善するものでした。SGLT2阻害薬の特徴は、腎臓に作用する薬であるということです。従来の糖尿病薬と異なり、膵β細胞に負担をかけない画期的な薬と言えます。

 

このように、最近めまぐるしく変化をとげる糖尿病治療薬の主な二つの薬が、動物や植物の意外なところからたまたま見つかり、それが新薬開発につながったというのは、非常に面白いことですよね。

 

今後も、どんなところから新しい薬が生まれるかわかりませんが、糖尿病薬のみならず画期的な新薬の開発に期待したいと思います!

 

生薬のおはなし

2020年 8月 15日 土曜日

皆さんは漢方薬を飲んだことがありますか?
「風邪の時はいつも葛根湯」という方から、「漢方は苦いから飲まない!」という方まで、漢方薬は好みが分かれるお薬かもしれません。私は何かと漢方薬に頼ることも多く、たくさんの人に漢方薬について知って欲しいと思います。

 

そこで、本日は、漢方薬生薬についてのお話をしようと思います。
「漢方薬と生薬はどう違うの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

 

「漢方」とは、中国から渡った中医学をもとに、独自に発展を遂げた日本式東洋医学のことです。漢方薬「生薬」と呼ばれる、自然界に存在する植物、動物、鉱物などの薬効となる部分が、複数組み合わされ構成されています。例えば、代表的な漢方薬である葛根湯は、「葛根(カッコン)」「大棗(タイソウ)」「麻黄(マオウ)」「甘草(カンゾウ)」など、複数の生薬をブレンドしたお薬です。

 

漢方薬は苦手、という方でも、生薬を身近に感じられるものとして、薬膳があります。
薬膳とは、季節や食べる人の体調に合わせ、食材や生薬を組み合わせた料理のことで、中国の清朝時代には皇帝のための宮廷料理だったという説もあります。
例えば、普段の料理によく使われる「生姜」は、体を温める作用や健胃作用のある生薬として様々な漢方薬に用いられています。また、香辛料としてよく知られる「シナモン」も、「桂皮」という生薬として様々な漢方薬に配合されています。

 

薬膳には「すべての食べ物に薬効がある」「誤った食事は病を生み、正しい食事で病は自ずと癒える」という“薬食同源”という考え方が根底にあります。生薬や薬膳について知ることは、日々の健康を保つことに繋がるかもしれません。

 

 

 

虫さされに対するお薬のおはなし

2020年 8月 1日 土曜日

季節も夏に入り、昼夜問わずじんわりと汗をかく季節になってきました。

そんな時彼らはやってくる!今回は「虫さされに対するお薬のおはなし」をさせて頂きます。

 

虫さされといっても一概には言えず、中には勝手な処置で悪化したり、医療機関の受診が必要となったりすることもあります。今回は主に蚊などのセルフメディケーションで対応できる虫さされについてご紹介します。

 

虫さされ用として販売されている市販薬には主に以下のような成分が含まれています。

・ステロイド剤

かゆみ、はれ、赤みの元である炎症を抑える効果。

・抗ヒスタミン剤

かゆみの元であるヒスタミンを抑える効果。

・局所麻酔剤

かゆみの伝導を止めて、かゆみを抑える効果。

・その他

殺菌作用のある成分、清涼感のある成分、ステロイド以外の炎症を抑える成分など。

 

夏になると各家庭に1つは用意されている虫さされ用のお薬ですが、実は上記の成分の配合がそれぞれ異なります。かゆみ・はれ・赤みなどの症状の違いやアレルギーの有無などでも使い分けが必要なので、お求めの際はぜひ薬剤師に聞いてみて下さい。

 

余談ですが、パッケージに“虫さされ用”と書いていなくても上記の成分が含まれている市販薬の中には虫さされに対する適応を持ったものも多いです。

特に初夏、夜突然の蚊の猛攻にあったのに虫さされ薬を持っていなくて泣きたいとき、もしアトピーやかゆみのための市販薬を持っていたら添付文書を参照してみて下さい。

 

最後に、再度お伝えいたしますが、虫さされにはセルフメディケーションで対応できないものもあります。

毒性が強い、感染症を媒介する、またはアナフィラキシーショックを引き起こすなどの

種類の虫にさされた場合

症状が強い(呼吸困難など患部以外の症状、ただれ・水ぶくれなどの皮膚症状など)場合

・セルフメディケーションを行っても5日以上症状が続く場合

これらの場合は速やかに医療機関を受診して下さい。

正しいセルフメディケーションで虫さされを治療して、楽しい夏を過ごして下さいね!