パーキンソン病のおはなし

2020年 5月 1日 金曜日

 

 

皆さんは、“パーキンソン病” をご存知ですか?

 

全く聞いたことがない、よく知らないけど名前だけ聞いたことがあるといった方々が大半ではないでしょうか。

 

今回はそんな“パーキンソン病”について、症状や原因、治療法についてご紹介します。

 

○パーキンソン病の主な症状

1)振戦(しんせん):小刻みなふるえで、多くは体の片側に出てきます。

 

2)動作緩慢:その名の通り、体を思うように動かせず、動きがゆっくりとなります。

 

3)筋強(きんきょうごう)剛(ごう):筋肉がこわばり、関節の曲げ伸ばしがぎこちなくなります。筋固(きんこ)縮(しゅく)と呼ばれることもあります。

 

4)姿勢反射障害:体のバランスがうまく保てなくなり、ふらついたり転びやすくなったりします。歩く際の姿勢は前のめりになり、歩き出したら止まれません。

 

その他、幻覚やうつなどの精神症状や、よだれや食事をうまく飲み込めなくなる嚥下(えんげ)障害等が発現することもありますが、一般的にパーキンソン病は上記の運動に関する症状を考慮して診断されます。

 

 

○パーキンソン病の原因

脳内のドパミンが減少して起こります。ドパミンは体を動かすためのガソリンのようなもので、ドパミンが減少すると体が動きにくくなり、ふるえや体を動かしにくいといった症状が起こりやすくなります。ドパミンが減少する理由はまだ明らかになっていませんが、現在はドパミンを作っている神経細胞の中にα-シヌクレインというタンパク質が1つに集まり固まって(凝集(ぎょうしゅう))蓄積し、ドパミン神経細胞が減少すると考えられています。海外では、このα-シヌクレインをターゲットとした新しい薬の開発が進められています。

 

 

○パーキンソン病の治療方法

パーキンソン病における治療は薬による治療が基本です。しかし、治療といってもパーキンソン病を根本的に治す方法はまだ研究段階であるため、治療は症状を和らげる対症(たいしょう)療法となります。

 

主な治療薬

1)レボドパ製剤:脳内で不足しているドパミンを直接補充する薬で、パーキンソン病の治療において中心となる薬です。効果が最も高い薬剤ではありますが、作用時間が短い欠点もあります。

 

2)ドパミンアゴニスト:ドパミンを直接補充するのではなく、少なくなったドパミンの代わりとなる薬です。レボドパ製剤に比べて効果は劣るものの、長時間安定して作用する利点があります。

 

3)MAO-B阻害剤:ドパミンは脳で別の物質に変換(代謝)されますが、この代謝を行う

酵素を阻害してドパミン濃度を上げる薬です。単剤で処方されることもありますが、レボドパ製剤と併せて処方されることが多いです。

 

上記以外に、COMT阻害剤や抗コリン薬など数多くの薬があります。

パーキンソン病の治療は1種類の薬を長期間服用するのではなく、2~3種類を組み合わせて使用することが特徴で、さらに患者さんの年齢や症状に応じて種類・量・組み合わせが決められます。

 

 

最後に

脳の血管障害や頭部の外傷、一部の薬が原因となってパーキンソン病に似た症状を起こすことがあります。さらにパーキンソン病との区別が難しい病気もありますので、気になることがあれば神経内科や専門医がいる病院に相談してください。

 

 

薬とコーヒーのおはなし

2020年 4月 15日 水曜日

 

薬は水で服用するものということは定着していると思いますが、薬を服用する前後にコーヒーを飲んでいないでしょうか。コーヒーに含まれるカフェインですが、薬の効果に影響を与えない場合もありますが、薬の効果を弱めてしまう、あるいは強めてしまうことがあります。具体例をご紹介させていただきます。

 

 

 

 

〇効果が弱くなる

・鎮静薬・抗不安薬など・・・カフェインは興奮作用があるため薬の効き目が抑えられてしまう。

・痛風治療薬(尿酸の合成、排出を促進させる薬)・・・尿酸の排出が妨げられて効果を弱めてしまう。

〇効果が強くなる

・喘息薬(テオフィリン)・・・カフェインと構造が似ており、作用が増強してしまい、中毒症状(頭痛、吐き気、興奮、心悸亢進)が起こることがある。

・交感神経刺激薬(エフェドリン、エピネフリンなど)・・・中枢神経に対して効果が強くなり、不眠や不整脈、情動障害などが起こることがある。

・消化性潰瘍治療薬(シメチジンなど)・・・カフェインの代謝が低下し、不整脈などが起こることがある。

 

このようにコーヒーに含まれるカフェインの影響を受ける薬は多く存在します。一般的に、コーヒーを飲むにあたって、服用後、1時間から数時間あけることが望ましいという考え方もあります。一方で関係がない薬については、それほど気にする必要はないと言われています。

専門家に聞いてみるのが確実、安心ですので、ぜひかかりつけの医師、薬剤師へ相談してみてくださいね。

 

 

スーパー・スプレッダーのおはなし

2020年 4月 1日 水曜日

世の中ではCOVID-19が猛威を振るっておりますが

 

みなさんは腸チフスのメアリーをご存知でしょうか。

 

メアリー・マローンは

腸チフスをニューヨークで広めたとされ

保菌者として、病院で亡くなるまで

四半世紀に及び隔離された女性です。

 

メアリーは住み込み料理人としての雇われ先で次々と腸チフス感染者を発生させていました。

とあるニューヨーク州職員がそれに気付き検査を実施、メアリーが保菌者であることが発覚し病院へ連行、隔離されました。

 

しかしメアリー自身には症状がなく、本人も感染を広げていることを信じず、亡くなるまで保菌者であることを決して認めなかったといいます。

 

いわゆる健康保菌者(無症候性キャリア)です。

 

スーパースプレッダーとは通常考えられる以上に感染を広げる者のことをいいますが

行動範囲が広いだけではなく、そこそこの健康状態を保った人でなければ成り立たないという話があります。

 

つまり、一見健康な人が感染を大きく広げている可能性があるということです。

 

高齢者など免疫学的弱者へうつしてしまった後では、知らなかったでは遅いことがあります。

 

帰省を控えたり、なるべく外出頻度を抑えるというのは必要かもしれません。

また同様に自分の身を守ることは、家族やその他多くの接触者を守ることにもつながります

健康状態や行っている感染対策が正しいものか、常に確認して生活することが大切です。

 

いま一度、気の引き締めを。

 

スーパー・スプレッダーは元気なあなたかもしれません。