医療機関での『ご本人様確認』のおはなし

2019年 8月 1日 木曜日

 

病院で検査をする前や、薬局でお薬をもらう時などに、毎回『ご本人様確認』をされると思います。

医療過誤防止のための本人確認は、現在ではかなり認知されてきました。

とはいえ、体調が悪くて医療機関に出向かれているのです。何度も名乗ることに煩わしさや、医療者がすべき仕事ではないかと感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 

私は高校生の時、怪我で数ヶ月間通院したことがあります。

とある外来での診察日、主治医の先生が開口一番、仰ったのです。

「あなたと同姓同名、同い年で、血液型も同じ患者様が来られています。その方は○○(私の怪我とは異なる患部)を治療されているので、今後、私たちの話を聞いていて、もし何かおかしいと思ったら、言ってください。」と。

“えーっ、そんなことを患者任せにするの?自分たちが間違う(=患者を取り違える)って言ってるようなものじゃない!?しっかりしてよ!!”と感じたものです。

 

ところが、実際に薬剤師として病院で働いてみると、取り違えが起こりそうな事例が想像よりはるかに多いことに驚きました。

眼科病棟の担当薬剤師をしていた当時、同姓同名,同世代,似た背格好の患者様が、同じ手術目的で,同じ日に入院してこられたこともありました。一人は右眼、もう一人は左眼の手術をする患者様でした。

万が一取り違えてしまったら…考えるだけで恐ろしいです。

 

危険なのは同姓同名だけではありません。発音すると聞き間違いをしやすい名前や、漢字表記が見間違いをしやすい名前など、要注意な名前の組み合わせも数多く経験しました。

 

 

医療従事者は、氏名だけではなく、性別,年齢,治療疾患なども意識しながら患者様と接しています。患者情報が記録されたバーコード付きのリストバンドも取り入れています。それに加えて、取り違えのリスクが高い患者様の情報はスタッフ間で共有し、注意喚起のための対策をとります

 

残念ながら、それでも人は、思い違いや見逃しを100%無くすことは出来ないのです。

そのため、医療過誤防止の有効な手立てのひとつとして、治療上の処置や投薬の度に『患者様と共にご本人様確認』をしています。

 

その際は、「□□様でいらっしゃいますね?」と患者様に確認を委ねるのではなく、「お名前をお教えいただけますか。」と患者様に名乗っていただくことをお願いし、それを私たちが確認します。

 

 

病気や怪我をされた時、治療の主役はあなたです。

自分のことは自分で守るぐらいの心構えで、ぜひ積極的にフルネームで名乗ってください。

 

 

最後に…

私たち薬剤師が患者様にお薬をお渡しするときは、お薬の効果と副作用、正しい使い方をご説明します。お薬に変更があった場合の説明も重要です。

もし、いつもとお薬が変わっているのに、何も説明がなければ、必ず薬剤師に質問してくださいね。

 

爪白癬のおはなし

2019年 7月 15日 月曜日

 

爪白癬とは爪の水虫のことです。

原因は白癬菌と呼ばれるカビ(真菌)の仲間です。

白癬菌が足にいれば足白癬(いわゆる水虫)、足の爪に侵入すれば爪白癬となります。

 

 

症状としては、爪が白や黄色に濁ったり、ボロボロに欠ける、変形する、厚くなったりする、などが挙げられます。

痛みや痒みなどの自覚症状が比較的少ないのが特徴の一つです。

 

【治療法】

かつては、外用薬(塗り薬)を塗っても、爪が硬く、白癬菌も奥深くにいるため、なかなかお薬が到達できませんでした。そのため、主に内服薬(飲み薬)で治療していました。

しかし、最近は塗り薬でも完治に導けるような、新しい外用薬が発売され、患者様の選択肢が増えています。

 

白癬菌は、自覚症状がなくなったり、見かけ上治ったと思ったりしても、そこで治療を止めてはいけません。中途半端な治療だと白癬菌は復活してしまいます。

きちんと医師に決められた通りに服用する事、使用する事が大切です。

 

これからの季節、サンダルを履いたり、プールや海で裸足になったりする季節ですね。

しっかり治療をして、楽しい夏をお過ごしください。

119番通報したおはなし

2019年 7月 1日 月曜日

 

以前、家族に付き添って救急車に同乗したときのことを書こうと思います。

 

平日の深夜、自宅で家族が急に体調を崩しました。

タクシーを呼んで病院に行くべきか悩みましたが、歩ける状態ではなかったので救急要請することにしました。

 

電話するとオペレーターの方が順に質問してくださるので、それに答えていきました。

わたしを含め、皆さん動揺しながら電話してくると思うのですが、とても落ち着いた対応をしてくださり、こちらも少し冷静になることができました。

 

まず、火事か救急かを聞かれました。

その後の内容は、必死だったため詳しくは覚えていないのですが、年齢・性別・意識の有無・症状・飲んでいる薬や既往歴(高血圧・糖尿病など持病や、胃潰瘍・小児喘息など今までに罹った大きな病気)・住所を聞かれたと思います。

 

保険証とおくすり手帳を用意して救急車を待ちました。

10分待たずに到着した気がします。

玄関の鍵は閉めていましたが、救急隊員の方が開けて入ってきてくださいました。

救急隊員の方には、保険証とおくすり手帳病院で使用する靴を用意するようにと言われました。

 

救急車に乗った後は、心電図や脈拍の計測や、飲んでいる薬や既往歴、アレルギーを確認しながら、受け入れ先の病院を探します。

このときにお伝えする情報が治療するうえで重要になることも多いです。

場合によっては使えない薬もあるので、必ず伝えてください。

念のため、病院の看護師や医師にもお伝えすると安心です。

 

無事に病院が見つかると救急車が出発します。

家族曰く、担架は特に揺れるそうです。

同乗者の席にはベルトがないので、狭い道を曲がるときは少し怖かったです。

 

病院到着後は検査に入り、わたしはその間に家族に病院名などを伝えました。

ある病気の疑いであること、確定するためにその検査が必要なこと、副作用の可能性がある旨の説明を受け、同意書にサインする経験もしました。

病名が確定したら必要な処置に入ります。

 

いざというときは誰に来るかわかりません。

私の経験が少しでも誰かの参考になれば幸いです。