花粉症のはなし

2015年 6月 15日 月曜日

4月~5月になると、私は花粉症に悩まされており、アレルギー薬を常備しながら仕事に励んでおります。というわけで、今回は花粉症をトピックスに挙げてお話ししたいと思います。

花粉症の原因のアレルゲンといえば、スギ花粉がよく知られていて、すでに1月~2月には飛散し始めていますが、このほかにもさまざまな植物の花粉が原因となって発症します。花粉カレンダー(※)を見ると、花粉は1年中飛んでいることがわかります。また、日本は南北に細長い地形のために地域差があり、花粉症の原因植物の特徴や飛散期も異なります。各花粉症の発症時期を理解しておくと、自身の予防や症状の緩和に役立ちます。

スギ花粉の時期には、ヒノキやハンノキなどの花粉も飛散しており、注意が必要です。
このハンノキやその仲間の花粉は、スギより早く、ヒノキより長く、1月~6月頃まで飛散しており口腔アレルギー症候群(OASの感作アレルゲンとしても注意が必要な花粉として知られています。
OASとは、花粉と食物に存在する共通のアレルゲンにより引き起こされる食物アレルギーの一種で、果物や野菜を食べて、口・のど・唇に、かゆみやピリピリ感といったアレルギー症状が出るものです。ハンノキやその仲間の花粉に感作されている患者さんに多く見られるようです。ハンノキとその仲間は、日本各地の公園や山地に生育しており、気が付かないうちに感作されている可能性も高いようです。

花粉症は、治りにくい病気で、症状も個人によって違いがあることから、かかりつけ医と症状についてよく相談しながら、あせらずに治療していくことが大切です。

※花粉カレンダー(参考)
http://www.kyowa-kirin.co.jp/kahun/about/calendar.html
http://www.ssp.co.jp/alesion/allergy/calendar.html

安定性試験のはなし

2015年 6月 1日 月曜日

この仕事を始めてから、安定性試験の情報をよくお伝えするのですが、実際安定性試験とはどのようにして行なわれているか気になったので調べてみました。

安定性試験は、ICH(※1)ガイドラインQ1と安定性試験ガイドラインの改訂について(平成15年6月3日、医薬審発第0603001号)の2つの基準で行なわれています。これらの基準より室温保存の薬剤の場合は、長期保存試験と加速試験の2つの試験を行なわないといけません。

長期保存試験というのは、保存条件を25℃±2℃、60%RH(※2)±5%RHで行い、試験期間が3年以上となっています。また、申請にあたっては、少なくとも12ヶ月間の試験データが必要で、すなわち、製造してから1年は長期保存試験を行なわないと承認申請出来ません。試験の頻度としては、最初の1年は3ヶ月を越えない間隔で、その後は6カ月を越えない間隔で行ないます。

加速試験というのは、保存条件を40℃±2℃、75%RH±5%RHで行い、試験期間が6カ月以上となっています。また、試験の申請にあたっては、少なくとも6ヶ月間の試験データが必要ということで、試験の頻度としては試験開始時を含め4点以上行ないます。6カ月安定であれば、アレニウスの式(ある温度での化学反応の速度を予測する式)を用いて計算することで、使用期限を3年とすることができます。3年以上の使用期限になると長期保存試験になります。

今回は室温保存の製剤を調べましたが、普段お伝えしている安定性試験がこのような基準で行なわれているのを改めて見直すと、普段の対応も変わってきそうです。

参考資料:安定性試験ガイドラインの改訂について(平成15年6月3日、医薬審発第0603001号)

※1:ICH:International Conference on Harmonisatio of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(日米EU医薬品規制調和国際会議)の略。日・米・EUによる新薬承認審査の基準を国際的に統一し、製薬企業による各種試験の不必要な繰り返しを防いで、よい医薬品をより早く患者のもとへ届けることを目的としています。

※2:RH:Relative Humidity(相対湿度)のこと。ある気温で大気が含むことのできる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)に対する、実際の水蒸気量の測定値をパーセントで表したもの。

脂質異常症のはなし

2015年 5月 15日 金曜日

桜の季節も過ぎ、暑さ感じる陽気も増えてきましたね。本日は、「脂質異常症」というものについてお話します。脂質異常症とは、血液中の脂質(LDLコレステロールや中性脂肪)が多すぎる病態のことです。未治療の場合、増えた脂質が血管内にたまり、動脈硬化になってしまいます。

この時期はお仕事をはじめ、様々なものの節目となる事が多いかと思います。中には、健康診断を受ける方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、労働者の健康診断では、血液中の脂質の値が異常値を示す方が多いと言われています。少し古い情報になりますが、中性脂肪やコレステロールが高い脂質異常症の方は、潜在的な患者さんも含めると2,200万人にものぼるという報告があります。(平成12年厚生労働省循環器疾患基礎調査)

また、脂質異常症の診断基準の1つに「トリグリセリド(中性脂肪)」があります。以前に行われた国民健康・栄養調査では、トリグリセリドだけでみても、異常とされる基準値を上回る人は、以下のように報告されています。
●男性:30代から50代にかけて増加、50代ではおよそ2人に1人が異常値。
●女性:50代から増え始め60代でおよそ3人に1人が異常値。
脂質異常症という言葉を聞いた事が無い方も多いかと思いますが、実は私たちの身近に潜んでいる病態なのかもしれません。

なぜ、脂質異常症になってしまうのか。原因の多くは“食生活”にあると言われています。
LDL(悪玉)コレステロールが高くなる要因としては、
肉や乳製品などの動物性脂肪の多い食品をよく食べる
鶏卵や魚卵、レバーなどコレステロールを多く含む食品をよく食べる
食べすぎによってカロリー過多になってしまう
以上のことが考えられます。

 

 

中性脂肪は、食べすぎ飲みすぎによる慢性的なカロリー過多が1番の原因とされています。
特に、お酒の飲みすぎは中性脂肪を増やしやすいため、注意が必要です。

以上のことから、脂質異常症を予防するためには“食事のコントロール”が必要になります。お肉や甘いものに偏らず、野菜も含めてバランスのよい食事が大切ですね。
(※中性脂肪が高い方は、砂糖に加え、果物などの糖質にも注意が必要です。)

これから行楽シーズンにさしかかり、BBQなど楽しいイベントも増えてくるかと思います。是非、食べすぎには注意して、野菜を取ることを意識して楽しんで下さいね。

参考資料:脂質異常症ホームページへ ようこそ(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/kousi/