生薬と子どもの頃の思い出のはなし

2012年 10月 15日 月曜日

漢名で

十薬   蘆薈   陳皮   蘇葉  とあらわされる生薬があります。

もとの植物が何か、わかりますか?

十薬(ジュウヤク) ドクダミの花期の地上部です。

  民間薬としても有名な植物です。
  漢方処方では 五物解毒湯(ごもつげどくとう)などに配合されています。

蘆薈(ロカイ) は アロエ(Aloe ferox又はこれとAloe africana 又はAloe spicataとの雑種)
                              葉の液汁の乾燥品です。
                
    アロエには多くの種類があります。 
  ヨーグルトに入っている食用のアロエベラとは異なる種です。
  便秘薬、健胃薬として使われ、漢方処方では 当帰竜薈丸(とうきりゅうかいがん)
  などに配合されています。

陳皮(チンピ) 温州ミカンの皮 です。

  陳皮は七味唐辛子にも使用されることがあります。
  芳香性苦味健胃薬として使われ、漢方処方では、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  などに配合されています。

蘇葉(ソヨウ)  シソ 又は チリメンジソ の葉及び枝先 です。

  解熱薬、芳香健胃薬、鎮咳薬などとして使われます。
  半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、神秘湯(しんぴとう)などに配合されています。

 
私にとってこれらの植物は子どもの頃から身近にあるものでした。

ミカンは一番好きな果物なので子どもの頃は冬になると手のひらや足の裏が黄色くなる
ぐらい食べていました。

ドクダミ アロエ は家の庭に生えていました。

火傷をした時など怪我をした時には庭のアロエを採ってきてアロエを患部に貼りつけたり
塗ったりしていました(不衛生なので本当は良くないことだと大人になってから知りました) 。

体に良いからと祖母が作った ドクダミ茶 や シソジュース を飲んだこともありますが、
天の邪鬼な私は 体に良いから と勧められたことが嫌で、
少し飲んだだけでおいしくない  と言って残した記憶があります。
素直に飲んでおけばよかったと、今になって後悔しています

ボタンやニチニチソウなども薬として使われています。

道端の花や草にも薬として使われているものがあるかもしれませんね。

おくすりをのむと、虫歯になる?のはなし

2012年 10月 1日 月曜日

お薬の味、好きですか?

以前勤めていた薬局で  こんなおじいちゃん  がいました。

◎※剤の OD錠 が大のお気に入りで、

「これがですね、非常~に美味しい( 絶賛)。 ついつい食べちゃうんですね。」

イヤイヤイヤイヤ!お薬ですから~~~
ラムネじゃないし。

 

とはいえ、お薬の味って

とりわけ小さなお子さまにちゃんとのんでもらうためには、
意外に大事な要素 だったりしますよね。

 

特に原末がニガいとか変なニオイがするやつ。

妙なあと味がいつまでも残るやつ。

だから多くの小児用薬や細粒薬には

「まぁこれなら飲んでやってもいいかな。」

と思わせるために

香りや甘みがつけられています。

 

実際、私の勤務先で扱う製剤にも

エリスリトール、アスパルテーム、D-ソルビトールなどが添加物として含まれています。

そんな製剤に関して、先日こんな問い合わせを受けました。

3歳の男の子のママです。
「ドライシロップを寝る前に飲ませたら、また歯みがきしなくちゃいけないの?」

うーん、たしかにメンドクサイ…。

みがかなくて済むならみがかないで済ませたい。

眠いと子供言うこと聞かないしね。すぴー・・・
歯みがきの作業そのものより、 「え゙―!」 って文句言われるのがメンドクサイ。 

そのまま寝たら虫歯になるのかな?

誰か「大丈夫だよ。ならないよ。」って言ってくれないかな。

ググってみよ。

 カチャカチャ

「代用甘味料の中で、非う蝕原性あるいは低う蝕原生(う蝕の原因にならない、あるいはなりにくい)甘味料で、これまでに特定保健用食品をはじめ機能性食品に実際に使われているもの↓↓↓

エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、パラチノース、アスパルテーム、ステビオシド、スクラロース」

(厚生労働省メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイトe-ヘルスルネット)
 
おお!朗報!
「う蝕細菌であるミュータンスレンサ球菌は主に スクロース を利用してう蝕を発生させます。
スクロースは

  ミュータンスレンサ球菌のグルカン合成反応の基質となりバイオフィルム形成を促し、
 バイオフィルム内のミュータンスレンサ球菌や他の口腔内細菌の酸産生反応の基質
       となり、エナメル質侵襲性の酸の産生を促してう蝕の原因となります。」

スクロース というのはショ糖のことですね。いわゆる お砂糖の主成分 です。
ふうん。
甘みをつけるために加える添加物について言えば、

 「それ自身が酸産生反応、グルカン合成反応の基質にならない代用甘味料を利用することが肝要」

 ってわけね。

だがしかし。

こういう代替甘味料を使っているからって

喜んでばかりもいられない。

虫歯の原因はもちろんショ糖だけじゃないので、

ストレプトコッカス・ミュータンスを飼っている限り

虫歯とは縁が切れないのよね。

おくすりを 飲む・飲まない にかかわらず

こまめに歯みがきをするに越したことはないですね。

子供もそうだけど、大人もね。

ほら、特に年取ると唾液が減ってくるからさ。

メンドクサイけど。

ドラッグストア薬剤師の日常のはなし

2012年 9月 18日 火曜日

ドラッグストアで働いていた時のこと。

ある日、
「いつものふりかけを下さい」

というおばあちゃんがやって来ました。
店では食品も扱っていたので、ふりかけ売り場にご案内すると
「違う違う、薬のふりかけだよぅ」
とのこと。

んん・・・?
私のつるりとした脳がフル回転。

すごい健康志向のふりかけ?頭がすごい良くなる魔法のふりかけとか?
薬のふりかけだよぅ薬のふりかけだよぅ最近そんなOTC販売してるのかな
フィルム型とかチュアブルとかあるけど都会じゃ売ってるのかねぇ
「いつもの」って言ってたよね
昔からのものかな・・・

 

私が笑顔でフリーズしている間におばあちゃんは薬コーナーにすたすたと戻っていきます。

「ああ、これこれ。ごめんねぇ。お手数かけちゃって」
手にしたものを見ると、漢方薬の顆粒でした。

ポカーン・・・・(なるほど!

「いつもめんどくさいからご飯にかけて食べちゃうんだよね」

ああ・・そうだったんですか・・ふりかけの顆粒と似てますね・・おいしいのかなぁ・・
んん?ん?? 

・・・この薬は食間ごはんと一緒にのんじゃダメだよ~!

※「食間」とは、食事と食事の間という意味で、食事を終えてから2 時間後が目安です。

食間を「ごはんの間」と勘違いしている方は意外と多いんですよ。
(ちなみに私のだんなさんも、つい最近まで誤解していたらしい)

私が今担当している窓口に、一般のお客様のくすり相談窓口があります。
一般の方からの疑問や不安は予想外のことばかりで、今さらなるほど!と気づかされることも多くあります。
また、自分が常識だと思っていることが必ずしも通じているわけではない、と感じることもしばしば。
一つ一つ誤解を解いて、薬剤師として正しく服用していただくお手伝いができたらと思っています。