日焼け止めと子宮内膜症!?のはなし

2012年 8月 20日 月曜日

真夏の日差しが降り注ぐようになりましたね
この時期よくお世話になるのが日傘や帽子に加えて日焼け止めですが、
実は最近、日焼け止め成分の誘導体と子宮内膜症リスク上昇の関連が示された論文1)が発表されました。

これはニューヨーク州立大学からの疫学研究報告で、625名の女性を対象に尿中のベンゾフェノン濃度を分析した結果、2,4OH-ベンゾフェノンの濃度が高い女性は低い女性に比べて65%子宮内膜症のリスクが高かった、という結果でした。そしてそのベンゾフェノンの血中濃度は、特に7~8月に高い値を示しました。
以前の研究で、日焼け止めを使っている人の尿中2,4OH-ベンゾフェノン濃度は使っていない人に比べて低い事が分かっており、今回の研究は日焼け止め成分由来のベンゾフェノンが尿中で検出されたものと考察しています。

ベンゾフェノンは効果的に有害な紫外線を遮断してくれる性質があるため、その誘導体(オキソベンゾン)が日焼け止め成分として広く用いられています。
しかしこの論文の考察では、極微量が皮膚から吸収されて血中に入り、女性ホルモンエストロゲン様作用を示す事が示唆されています。

もちろん、今回ご紹介した報告だけで、日焼け止めの安全性を議論することは賢明では
ありませんが、ベンゾフェノンはかつて話題となった環境ホルモンでも話題になっており
ましたので興味深いものと思いました


   論文をお読みになりたい方はこちらのリンクよりご覧ください      
               ↓↓↓
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?cmd=HistorySearch&querykey=9

1)Urinary Concentrations of Benzophenone-type UV Filters in U.S. Women and Their Association with Endometriosis.
Kunisue T, et al
Environ Sci Technol. 2012 Apr 17;46(8):4624-32. Epub 2012 Mar 29.

物忘れの治療のくすりのはなし

2012年 7月 28日 土曜日

こんにちは

夏休みの時期となりましたが、皆さんは帰省の予定はありますか?
私はまとまった休みがとれると、ちょくちょくと帰省しており、実家に帰ると祖母に会うことを楽しみにしています。
祖母は今年で90歳となり、大好きな猫と一緒に毎日穏やかに過ごしているようです。
そんな元気な祖母ですが、唯一気になるのが物忘れについてです。

だいぶ前の話になりますが・・・
当時私は大学生で東京に住んでいました。
今思うと、祖母は、私の父・母とずっと一緒に住んでいたこともあり、祖母の物忘れが進んでいることに気がつきにくかったように思います。
たまたま親戚と集まる機会があった際に、祖母の状態が心配という話があり、物忘れ外来という病院を受診することとなりました。

当時アルツハイマー型痴呆に対する薬剤は少なく、祖母はドネペジル塩酸塩を飲み始めました。
現在研究が進んでいますが、病気自体を完治させるということは難しく、現在は病気の進行を遅らせる薬しかありません
祖母は気が付いたときには症状も進んでいた様子で、飲んでも進行を遅らせることができるかどうかという状態でした。
現在はドネペジル塩酸塩のほか、リバスチグミン、メマンチン塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩など新しい薬が出ており選択の幅が広がっています

色々な話をしても忘れてしまうことが多い祖母ですが、
私が結婚することを伝えにいったとき、私の手を握りしめて、結婚する彼に向かって
「かわいがってあげてください。」と何度も繰り返し伝えていたことが、
とても心に残っています。

 

 

もしかしたらこれからもっと忘れてしまうことが多くなるかもしれません。
もっと早く気が付いてあげられたら・・・と思うこともあります。

でももしも薬を飲んでいなかったら、私の結婚のことも分かってもらえなかったかもしれません。

現在新しい薬も増えてきていることや進行を抑えるという薬剤の特徴からも早い段階で専門の医師・医療機関で見てもらうことが大切なのだと感じています

 

尿管結石のおはなし

2012年 7月 10日 火曜日

先日友人と遊んでいたときの事でした。

お昼を食べ、買い物がてら街をフラフラ歩いていると友人がおもむろに
「左のわき腹がなんか痛むんだよなぁ
 とつぶやきました。

その時はそれほど強い痛みではなかった様子だったのですが、
夕方になると歩くのもつらい程の痛みに変わっていきました

そして救急外来を受診した結果、

尿管結石の診断・・・。

水分を一日3リットル摂るようにと医師に指導され薬局へ。
尿路の鎮痙薬、結石の排出を促進するお薬、痛み止めを受け取り友人は帰宅していきました。

尿管結石ができて尿路が閉塞されると腎盂内圧が急激に上昇するため短時間で痛みが強くなるようです。
結石はシュウ酸・リン酸のカルシウム結石、尿酸結石などであり普段の食生活が関係してきます。

結石が出来やすくなる食習慣は

①動物性蛋白質をよく摂る
②就寝前に食事を摂る
③水分摂取が少ない
④塩辛いものを好む

などがあげられます。

お薬のお世話には出来るだけなりたくないものです…

これからますます暑くなってきます。上記の食習慣に心当たりのある方は熱中症予防のためだけでなく、結石予防のためにも積極的な水分摂取をおススメします