おくすりをのむと、虫歯になる?のはなし

2012年 10月 1日 月曜日

お薬の味、好きですか?

以前勤めていた薬局で  こんなおじいちゃん  がいました。

◎※剤の OD錠 が大のお気に入りで、

「これがですね、非常~に美味しい( 絶賛)。 ついつい食べちゃうんですね。」

イヤイヤイヤイヤ!お薬ですから~~~
ラムネじゃないし。

 

とはいえ、お薬の味って

とりわけ小さなお子さまにちゃんとのんでもらうためには、
意外に大事な要素 だったりしますよね。

 

特に原末がニガいとか変なニオイがするやつ。

妙なあと味がいつまでも残るやつ。

だから多くの小児用薬や細粒薬には

「まぁこれなら飲んでやってもいいかな。」

と思わせるために

香りや甘みがつけられています。

 

実際、私の勤務先で扱う製剤にも

エリスリトール、アスパルテーム、D-ソルビトールなどが添加物として含まれています。

そんな製剤に関して、先日こんな問い合わせを受けました。

3歳の男の子のママです。
「ドライシロップを寝る前に飲ませたら、また歯みがきしなくちゃいけないの?」

うーん、たしかにメンドクサイ…。

みがかなくて済むならみがかないで済ませたい。

眠いと子供言うこと聞かないしね。すぴー・・・
歯みがきの作業そのものより、 「え゙―!」 って文句言われるのがメンドクサイ。 

そのまま寝たら虫歯になるのかな?

誰か「大丈夫だよ。ならないよ。」って言ってくれないかな。

ググってみよ。

 カチャカチャ

「代用甘味料の中で、非う蝕原性あるいは低う蝕原生(う蝕の原因にならない、あるいはなりにくい)甘味料で、これまでに特定保健用食品をはじめ機能性食品に実際に使われているもの↓↓↓

エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、パラチノース、アスパルテーム、ステビオシド、スクラロース」

(厚生労働省メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイトe-ヘルスルネット)
 
おお!朗報!
「う蝕細菌であるミュータンスレンサ球菌は主に スクロース を利用してう蝕を発生させます。
スクロースは

  ミュータンスレンサ球菌のグルカン合成反応の基質となりバイオフィルム形成を促し、
 バイオフィルム内のミュータンスレンサ球菌や他の口腔内細菌の酸産生反応の基質
       となり、エナメル質侵襲性の酸の産生を促してう蝕の原因となります。」

スクロース というのはショ糖のことですね。いわゆる お砂糖の主成分 です。
ふうん。
甘みをつけるために加える添加物について言えば、

 「それ自身が酸産生反応、グルカン合成反応の基質にならない代用甘味料を利用することが肝要」

 ってわけね。

だがしかし。

こういう代替甘味料を使っているからって

喜んでばかりもいられない。

虫歯の原因はもちろんショ糖だけじゃないので、

ストレプトコッカス・ミュータンスを飼っている限り

虫歯とは縁が切れないのよね。

おくすりを 飲む・飲まない にかかわらず

こまめに歯みがきをするに越したことはないですね。

子供もそうだけど、大人もね。

ほら、特に年取ると唾液が減ってくるからさ。

メンドクサイけど。

ドラッグストア薬剤師の日常のはなし

2012年 9月 18日 火曜日

ドラッグストアで働いていた時のこと。

ある日、
「いつものふりかけを下さい」

というおばあちゃんがやって来ました。
店では食品も扱っていたので、ふりかけ売り場にご案内すると
「違う違う、薬のふりかけだよぅ」
とのこと。

んん・・・?
私のつるりとした脳がフル回転。

すごい健康志向のふりかけ?頭がすごい良くなる魔法のふりかけとか?
薬のふりかけだよぅ薬のふりかけだよぅ最近そんなOTC販売してるのかな
フィルム型とかチュアブルとかあるけど都会じゃ売ってるのかねぇ
「いつもの」って言ってたよね
昔からのものかな・・・

 

私が笑顔でフリーズしている間におばあちゃんは薬コーナーにすたすたと戻っていきます。

「ああ、これこれ。ごめんねぇ。お手数かけちゃって」
手にしたものを見ると、漢方薬の顆粒でした。

ポカーン・・・・(なるほど!

「いつもめんどくさいからご飯にかけて食べちゃうんだよね」

ああ・・そうだったんですか・・ふりかけの顆粒と似てますね・・おいしいのかなぁ・・
んん?ん?? 

・・・この薬は食間ごはんと一緒にのんじゃダメだよ~!

※「食間」とは、食事と食事の間という意味で、食事を終えてから2 時間後が目安です。

食間を「ごはんの間」と勘違いしている方は意外と多いんですよ。
(ちなみに私のだんなさんも、つい最近まで誤解していたらしい)

私が今担当している窓口に、一般のお客様のくすり相談窓口があります。
一般の方からの疑問や不安は予想外のことばかりで、今さらなるほど!と気づかされることも多くあります。
また、自分が常識だと思っていることが必ずしも通じているわけではない、と感じることもしばしば。
一つ一つ誤解を解いて、薬剤師として正しく服用していただくお手伝いができたらと思っています。

ぬり薬の違いって?のはなし

2012年 9月 7日 金曜日

ぬり薬の説明をするとき、よく聞かれるのが、
軟膏やクリーム、ローションの違いです。

「暑くなってくると、軟膏のベトベト感が嫌なのよね」
「このクリーム塗ってるとなんかヒリヒリするんだよね」

こんな悩みをもつ方は少なくないはず。

そこで!! 今回は軟膏やクリーム、ローションの一般的な特徴について紹介します

==============================================================

ぬり薬には主に、粘度高い順から軟膏、クリーム、ローションの3種類があります。

【軟膏】
ベタベタした油脂性基剤のぬり薬です。

 利点
皮膚を柔らかくする作用、皮膚を保護する作用が期待できます。
また、皮膚刺激作用は弱いので、患部がただれたり傷があったりジュクジュクしている時は 軟膏を使用します。
特にアトピー性皮膚炎などのカサカサ肌に適しています。
 欠点
薬の皮膚への透過性が良くなく、ベタベタして洗い落としにくいのが欠点です。

【クリーム】
水と油を混ぜ合わせて作った乳剤性基剤のぬり薬です。

 利点
軟膏ほどベタつきが無く、薬が角質へ浸透しやすいのが特徴です。
特に皮膚が厚くなった湿疹や水虫の治療などに効果的です。
軟膏のベトベト感に不快感を持つ方にクリームを使用される場合もあります。
 欠点
薬と油を混ぜるために乳化剤(界面活性剤)を使ってるので、それが傷などに刺激を与え、痛みを感じることがあるので注意が必要です。

【ローション】
約80パーセントは水でできている液状タイプのものです。

 利点
少量で広い範囲に延ばせます。
特に、毛の生えている頭部などにに使います。
ローションは一時的な浸透力は強く、手を汚さずに塗れて、冷却作用もあります。
 欠点
一般的なローションにはアルコールが含まれていますので、傷があるところやただれたところに塗ると強い刺激があります。
また、保湿作用の持続は短いです。

==============================================================

<最後に>

ぬり薬は、選び方を間違えると、治るどころか逆に症状を悪化させる可能性もあります。

使用している薬に違和感を感じる時、自分でどのタイプを使ったらよいのか迷ったときには、
迷わず、薬剤師に相談することをオススメします!!