ぬり薬の違いって?のはなし

2012年 9月 7日 金曜日

ぬり薬の説明をするとき、よく聞かれるのが、
軟膏やクリーム、ローションの違いです。

「暑くなってくると、軟膏のベトベト感が嫌なのよね」
「このクリーム塗ってるとなんかヒリヒリするんだよね」

こんな悩みをもつ方は少なくないはず。

そこで!! 今回は軟膏やクリーム、ローションの一般的な特徴について紹介します

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ぬり薬には主に、粘度高い順から軟膏、クリーム、ローションの3種類があります。

【軟膏】
ベタベタした油脂性基剤のぬり薬です。

 利点
皮膚を柔らかくする作用、皮膚を保護する作用が期待できます。
また、皮膚刺激作用は弱いので、患部がただれたり傷があったりジュクジュクしている時は 軟膏を使用します。
特にアトピー性皮膚炎などのカサカサ肌に適しています。
 欠点
薬の皮膚への透過性が良くなく、ベタベタして洗い落としにくいのが欠点です。

【クリーム】
水と油を混ぜ合わせて作った乳剤性基剤のぬり薬です。

 利点
軟膏ほどベタつきが無く、薬が角質へ浸透しやすいのが特徴です。
特に皮膚が厚くなった湿疹や水虫の治療などに効果的です。
軟膏のベトベト感に不快感を持つ方にクリームを使用される場合もあります。
 欠点
薬と油を混ぜるために乳化剤(界面活性剤)を使ってるので、それが傷などに刺激を与え、痛みを感じることがあるので注意が必要です。

【ローション】
約80パーセントは水でできている液状タイプのものです。

 利点
少量で広い範囲に延ばせます。
特に、毛の生えている頭部などにに使います。
ローションは一時的な浸透力は強く、手を汚さずに塗れて、冷却作用もあります。
 欠点
一般的なローションにはアルコールが含まれていますので、傷があるところやただれたところに塗ると強い刺激があります。
また、保湿作用の持続は短いです。

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<最後に>

ぬり薬は、選び方を間違えると、治るどころか逆に症状を悪化させる可能性もあります。

使用している薬に違和感を感じる時、自分でどのタイプを使ったらよいのか迷ったときには、
迷わず、薬剤師に相談することをオススメします!!

日焼け止めと子宮内膜症!?のはなし

2012年 8月 20日 月曜日

真夏の日差しが降り注ぐようになりましたね
この時期よくお世話になるのが日傘や帽子に加えて日焼け止めですが、
実は最近、日焼け止め成分の誘導体と子宮内膜症リスク上昇の関連が示された論文1)が発表されました。

これはニューヨーク州立大学からの疫学研究報告で、625名の女性を対象に尿中のベンゾフェノン濃度を分析した結果、2,4OH-ベンゾフェノンの濃度が高い女性は低い女性に比べて65%子宮内膜症のリスクが高かった、という結果でした。そしてそのベンゾフェノンの血中濃度は、特に7~8月に高い値を示しました。
以前の研究で、日焼け止めを使っている人の尿中2,4OH-ベンゾフェノン濃度は使っていない人に比べて低い事が分かっており、今回の研究は日焼け止め成分由来のベンゾフェノンが尿中で検出されたものと考察しています。

ベンゾフェノンは効果的に有害な紫外線を遮断してくれる性質があるため、その誘導体(オキソベンゾン)が日焼け止め成分として広く用いられています。
しかしこの論文の考察では、極微量が皮膚から吸収されて血中に入り、女性ホルモンエストロゲン様作用を示す事が示唆されています。

もちろん、今回ご紹介した報告だけで、日焼け止めの安全性を議論することは賢明では
ありませんが、ベンゾフェノンはかつて話題となった環境ホルモンでも話題になっており
ましたので興味深いものと思いました


   論文をお読みになりたい方はこちらのリンクよりご覧ください      
               ↓↓↓
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?cmd=HistorySearch&querykey=9

1)Urinary Concentrations of Benzophenone-type UV Filters in U.S. Women and Their Association with Endometriosis.
Kunisue T, et al
Environ Sci Technol. 2012 Apr 17;46(8):4624-32. Epub 2012 Mar 29.

物忘れの治療のくすりのはなし

2012年 7月 28日 土曜日

こんにちは

夏休みの時期となりましたが、皆さんは帰省の予定はありますか?
私はまとまった休みがとれると、ちょくちょくと帰省しており、実家に帰ると祖母に会うことを楽しみにしています。
祖母は今年で90歳となり、大好きな猫と一緒に毎日穏やかに過ごしているようです。
そんな元気な祖母ですが、唯一気になるのが物忘れについてです。

だいぶ前の話になりますが・・・
当時私は大学生で東京に住んでいました。
今思うと、祖母は、私の父・母とずっと一緒に住んでいたこともあり、祖母の物忘れが進んでいることに気がつきにくかったように思います。
たまたま親戚と集まる機会があった際に、祖母の状態が心配という話があり、物忘れ外来という病院を受診することとなりました。

当時アルツハイマー型痴呆に対する薬剤は少なく、祖母はドネペジル塩酸塩を飲み始めました。
現在研究が進んでいますが、病気自体を完治させるということは難しく、現在は病気の進行を遅らせる薬しかありません
祖母は気が付いたときには症状も進んでいた様子で、飲んでも進行を遅らせることができるかどうかという状態でした。
現在はドネペジル塩酸塩のほか、リバスチグミン、メマンチン塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩など新しい薬が出ており選択の幅が広がっています

色々な話をしても忘れてしまうことが多い祖母ですが、
私が結婚することを伝えにいったとき、私の手を握りしめて、結婚する彼に向かって
「かわいがってあげてください。」と何度も繰り返し伝えていたことが、
とても心に残っています。

 

 

もしかしたらこれからもっと忘れてしまうことが多くなるかもしれません。
もっと早く気が付いてあげられたら・・・と思うこともあります。

でももしも薬を飲んでいなかったら、私の結婚のことも分かってもらえなかったかもしれません。

現在新しい薬も増えてきていることや進行を抑えるという薬剤の特徴からも早い段階で専門の医師・医療機関で見てもらうことが大切なのだと感じています