入浴剤の種類について

2022年 12月 15日 木曜日

本格的に寒い季節にはゆっくり温かいお風呂に入ってリフレッシュしたいですね。

さら湯のみのお風呂でもいいですが、入浴剤を入れることでいつもと違った効果が得られます。

今回はそんな入浴剤についてです。

入浴剤?浴用剤?入浴料?

いずれも言葉として聞いたことがあると思いますが、基本的にはすべて同じになります。

ただし分類が異なり、入浴剤と浴用剤は医薬部外品、入浴料は化粧品になります。

医薬部外品(入浴剤、浴用剤)は効能・効果のある有効成分が配合されており、「肩こり」や「腰痛」といった表現が可能です。

化粧品(入浴料)には人体に対する作用が緩やかであり「皮膚を洗浄する」「皮膚を健康に保つ」など効能の範囲が限定されています。

また、雑品(雑貨)に分類されるものもあります。

こちらは効能を載せることはできず、香りや形、お湯の色を楽しむ目的のものになります。

 

~どんな種類があるの?~

売り場に行くと、たくさんの入浴剤が売られていますよね。

成分により得られる効果が違いますので、順番に紹介します。

 

・無機塩類系 

最も一般的な入浴剤で、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウムといった炭酸塩や硫酸塩を含み、入浴後の保温効果が高く湯冷めしにくいもの。

各地の温泉名をなぞらえた名称のものも多いです。

湯冷めしにくい理由は、塩類が皮膚の表面の蛋白質と結合して膜を形成することで身体の熱の放散を防ぐからです。

 

・炭酸ガス系

炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等とコハク酸、フマル酸、リンゴ酸等を組み合わせたもの。

お湯に溶け込んだ炭酸ガスが皮膚内に浸透し、末梢血管を拡張させて血流量を増加します。

このため同温度のさら湯に比べ2~3℃高く感じます。

炭酸ガスは肺より体外に排出されます。

 

・薬用植物系

生薬を配合しているもので、効果は含有成分により異なりますが、保湿、血行促進、消炎、鎮静などがあります。

トウキ、トウガラシ、ウイキョウ、センキュウ、チンピ、ショウキョウには血行促進効果が認められています。

多くは芳香成分を含み、精神的にも作用をもたらします。

 

・酵素系

パパインやパンクレアチン等酵素を無機塩類と組み合わせたもの。

皮膚に無理な刺激を与えず、皮膚表面の皮垢がとれやすくなる。

ただし、水中で酵素活性を維持が難しく、剤型は主に粉末、顆粒、錠剤タイプになります。

 

・清涼系

メントールによる冷感、ミョウバン等による収れん作用により、特に夏場の入浴を快適にします。

 

・スキンケア系

セラミド、ホホバ油、植物エキス、米発酵エキス等の保湿成分を主に配合したもの。

入浴によって水で潤った角層の状態を維持するために、油性成分で入浴後の皮膚表面からの水分蒸発を防ぎ、保温成分などを効率的に吸着・浸透させます。

 

効果だけでなく色や香りにも違いがあるので、自分のコンディションや好みに合わせて選んでみてください♪

入浴剤をプラスして、バスタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか?

ノロウイルスのはなし

2022年 12月 1日 木曜日

本日はノロウイルスについてお話したいと思います。

ノロウイルスと聞くと、11月くらいから発生件数が増加し、12月~1月にかけてピークを迎えるため冬のイメージがありますが、実は1年を通して発生しています。

 

ノロウイルスの感染経路としては主に2つのルートが考えられています。

① ノロウイルスに汚染された食品(二枚貝など)の生あるいは十分に加熱せずに食べた場合

② ヒトからヒトへ感染する場合(感染者の便や嘔吐物が、飛び散った箇所に触れた手指が口に触れたり、乾燥して空気中に浮遊したウイルスを吸い込んだりすることによって感染するケースなど)

 

潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。

通常、これらの症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。

また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。

そう聞くと、そんなに怖くないと思うかもしれませんが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。

またノロウイルスについては残念ながらワクチンがなく、治療は輸液などの対症療法に限られます。

そのため予防対策がとても重要です!!

 

ではノロウイルスを予防するにはどうすればいいのでしょうか・・・?

 

食品の十分な加熱

一般にウイルスは熱に弱く、加熱処理はウイルスの活性を失わせる有効な手段です。

感染源として有名な牡蠣などの二枚貝を食べるときには、生食を避け、フライや鍋物にするなど、十分に加熱処理を行うことが重要です。

食品の中心部が85~90℃の状態で、90秒以上の加熱を行ってください。

手洗いの徹底

手洗いは、 手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。

帰宅時や調理時、食事の前、トイレに行った後など、石鹸を使って、こまめな手洗いを心がけましょう。

また昨今、アルコール消毒液がいたるところで見られますよね。

消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが、すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合、あくまで一般的な感染症対策の観点から手洗いの補助として用いてください。

調理器具の消毒・殺菌

ノロウイルスに感染した食材を調理した際、調理に使用したまな板や包丁、ふきん、調理台などにもウイルスが付着している可能性が考えられます。

使用後はすぐに洗浄をし、加熱できるものであれば、85℃以上の熱湯で1分間以上の加熱を行ってください。

加熱が難しい場合は、希釈した次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度200ppm)を布やスポンジにつけて、浸すように拭くとウイルスは失活化できると考えられています。

以上の事などに気を付け、万が一感染が確認されたら、医師の指示に従ったうえで、下痢や嘔吐などの症状が改善するまでは、自宅で安静に過ごすようにしましょう!

 

乗り物酔いの薬の選び方

2022年 11月 15日 火曜日

今回は乗り物酔いのOTC医薬品の選び方についてご紹介します。

乗り物酔いは医療用語だと、「動揺病」「加速度病」と呼ばれます。

いざ遠出や遊園地などのアトラクションに備えて市販薬を購入しようと思っても、たくさん種類があると悩んでしまいますよね。

そこで役に立つのが、乗り物酔いの薬の選び方のポイントです。

 

<使い分けのポイント>

乗り物酔いの薬は、「抗コリン薬」と「抗ヒスタミン薬」が主体です。

この2つの特徴を整理しましょう。

【抗コリン薬】

成分名:スコポラミン

特徴:予防効果が高く、眠気が少ない

作用:副交感神経の働きを抑えて吐き気・めまい・頭痛などの症状を緩和する

オススメする人:「予防」のために服用したい方、眠くなりたくない方

 

【抗ヒスタミン薬】

成分名:ジフェンヒドラミン・ジフェニドール・クロルフェニラミン・メクリジン

特徴:酔ってからでも効果があり、眠気を利用できる

作用:嘔吐中枢や内耳神経の興奮を抑えて吐き気・めまい・頭痛などの症状を緩和する

オススメする人:酔ってしまった時に「治療」として服用したい方、眠気を利用して乗り物酔いをカバーしたい方

 

<+αの知識!その他に入っている成分の効果は?>

ビタミンB6:神経機能を正常に保ち、吐き気などに効果があります。

無水カフェイン、ジプロフィリン:平衡感覚の乱れによるめまいを軽減し、乗り物酔いによる頭痛を和らげます。

(※こちらは中枢神経を刺激するため、眠気や疲労感を取り頭の重い感じを緩和する成分です。薬の効果を高めることを目的として鎮咳去たん薬やかぜ薬、鼻炎用内服薬、解熱鎮痛薬、ドリンク剤などにも配合されます。)

アミノ安息香酸エチル:胃粘膜への麻酔作用で、吐き気を抑えます。

 

<まとめ>

成分の主な特徴を理解したら、使用用途や目的に応じて薬を選択しましょう。

防薬として使用したい場合は「抗コリン薬」

☆治療薬として使用したい場合は「抗ヒスタミン薬」

☆予防も治療もしたい方は両方の成分が入っているもの

しかし、市販薬でも副作用を甘く見ず、使用用途・効果の持続時間を考えた上で薬を選ぶことが大切です。

「抗コリン薬」は副作用として、口やのどの渇き、目のまぶしさを感じる等の症状が現れることがあります。

また、前立腺肥大や排尿障害、閉塞隅角緑内障の既往歴がある方は「抗コリン薬」や「抗ヒスタミン薬」使用すると症状が悪化してしまう恐れがあります。

そのため、安易に「どちらの成分も入っている方が強そう!」「1日1回で飲める方が楽」と考えて購入するのではなく、必要最低限の効果が得られる薬を選びましょう。

市販の総合感冒薬やアレルギー性鼻炎のお薬などにも「抗コリン薬」や「抗ヒスタミン薬」の成分が含まれている場合がありますので、副作用や飲み合わせには十分注意し、迷った時は医師または薬剤師に相談するようにして下さい。