インフルエンザワクチンの話

2015年 12月 1日 火曜日

毎年、寒い時期になると猛威を振るうインフルエンザ

 

小さいお子さんや受験生、ご高齢の方がおられるご家庭では、とてもご不安だと思います。

 

 

例年10月ごろからワクチンの接種が始まりますが、
「ワクチンって効果があるの?」

「今年の予測は当たっているの?」

など、TV番組でも報道されることが多いですね。

ご存知のように、季節性のインフルエンザワクチンには、従来まで、A型の株が2種類とB型の株が1種類、合計3種類の株が含まれていましたが、近年の流行状況から、今年はB型の株が1種類追加され、合計4種類の株が選定されています。

 

 

この株の選択はどのようにされるのでしょう?
毎年2月の中旬ごろ、WHOで北半球のワクチン推奨株を何にするかの会議が行われ、推奨株が発表されます。

それを受けて国内で選定会議が行われ、決定の通知が出されます。

従って、どのメーカーのインフルエンザワクチンも同じ株が使われています。

 

 

 

 

 

インフルエンザワクチンの製造に用いるウイルスは、発育鶏卵を使って培養されます。

この培養工程で、ウイルスが少し変異してしまいう場合もありますが、ワクチンの有効性に影響を与えるような変異は起こしていないと言われています。

また、選ばれた推奨株(そして培養されたワクチン株)が、その年の流行株と合致しているかどうかの解析は、流行が終わってからされるので、すぐには分かりませんが、近年では、流行予測も確立され、推奨株と流行株がよく合致しているようです。

毎年、次のシーズンの接種が始まったころに、国立感染症研究所のホームページに掲載されます。
仮に流行株と、ワクチンに含まれているウイルス株が異なる場合でも、効果が全くないわけではなく、感染した場合でも、発症や重症化を抑える効果はあると言われています。

 

 

 

 

 

この時期の健康管理は特に気を遣いますね。

体質によっては、ワクチンの接種を躊躇される人もいらっしゃると思いますので、納得いくまで説明を受けてください。

うがい・手洗い・マスク着用・防寒対策、そして予防接種。

寒い冬を乗り切りましょう。

 

 

 

 

参考:国立感染症研究所ホームページhttp://www.nih.go.jp/niid/ja/

『オブラート』のおはなし

2015年 11月 15日 日曜日

「薬を飲むときにオブラートを使いたいが、口の中に貼りついて困る」という患者さまの声を聞いたことがあります。こんな経験で「オブラートは苦手…」と思い込んでおられる方はいらっしゃいませんか?

 

そう言えば、本当のことをストレートにズバリ言わずに、少し遠回しに、やんわり言うことを「オブラートに包む」なんて言いますね。物事もやんわり言われれば、受け入れやすいですよね。

「オブラート」はそのままでは飲みにくい薬を飲み易く包んでくれる優れモノ。上手に使えばお薬をとっても楽に飲むことができます。

 

オブラートとは元々、キリスト教の儀式で使用されるウェハースに似た無発酵の薄焼きパン(聖餅)のことだそうです。これに薬を包み水に浸して柔らかくした上で服用していたようですが、これは現在見られるような薄くて柔らかいものではなく、硬質オブラートと呼ばれるせんべい状のものだったそうです。

 

 

 

 

現在使われている柔軟オブラートは、1902三重県の医師小林政太郎が、その製法を発明。なんでも炊飯時に蓋のところにできる薄いデンプンの膜を見て、母親の飲みにくい薬を包んであげられるのではないかとひらめいた、というエピソードを聞いたことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、このオブラートですが、薬を包んだものをそのまま口に入れ、水で飲みこもうとすると、最初にご紹介した患者さまのように口の中の唾液で一部とけたオブラートが糊のようになって口の中に貼りついたり、そのせいでオブラートが破れて粉薬が口中に広がったりしてうまく飲み込むことができません。

オブラートは糊状に変化させたデンプンを乾燥したものですので、水分があるとまた糊状に戻ります。この性質を利用して、お薬を上手に飲むオブラートの使い方をご紹介します。

☆オブラートの使い方☆
①薬をオブラートで包む。(閉じ口にほんの少しお水をつけるとくっつくので閉じることができます)

②オブラートをスプーンの真ん中に載せて、水に浸す。

③オブラートが水を含んだら、スプーンをすくい上げる。

④水で膨らんだオブラートをかまずにツルっと飲みこむ。

またはスプーンを使わずに、薬を包んだオブラートを乾いた指で持ったままコップのお水にちゃぽんと浸し、すぐに口に入れてお水でつるっと飲み込んでも大丈夫です。

口に入れるまでに時間がかかりすぎるとオブラートがとけて重みで破れますので気をつけてくださいね。

この方法は、粉薬に限らず、錠剤を飲み込みにくいお子様や高齢の患者さまに錠剤をお飲みいただく時にもお使いいただけます。

最近ではお薬を飲みやすくするゼリー類もいくつか市販されています。どれも服薬しやすい良い製品ですが、オブラートと比較するとやはり高価で、毎日使用し続けるのには少し負担があるかもしれません。 水分を含んだオブラートは、小さなゼリーのようになり口の中に貼りつかず飲み込みやすいですよ。円形だけでなく、包みやすいように形を工夫した物もあります。一度お試しになってみてください。

 

 

 

 

 

余談になりますが、海外在住の友人にオブラート事情を尋ねてみたところ、アメリカ、イギリス、ブラジル、いずれの国にもオブラートで薬を飲む習慣はない様子でした。そもそも海外では粉薬があまり使われていないようです。

参考ホームページ:三重県環境生活部文化振興課 歴史の情報蔵ホームページhttp://www.bunka.pref.mie.lg.jp/rekishi/kenshi/asp/hakken/detail.asp?record=272

かぜ薬のはなし

2015年 11月 1日 日曜日

秋も深まってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

今回は、これからの時期、お世話になるかたも多い「かぜ薬」についてお話します。

一般的にかぜ薬は、鼻水・咳・頭痛・喉の痛み・を抑える成分などが組み合わせて出来ています。

1つの薬に数種類の成分が入ることで、様々な風邪の諸症状に効果が期待できます。
しかし、飲み合わせに注意が必要なのはご存知でしょうか。

例えば、鼻水を抑える成分は、抗ヒスタミン薬と呼ばれ、鼻水を抑える働き以外にかゆみやじんましん等を抑える働きもあります。またかぜ薬を飲むとよく起こる、眠気や喉の渇きといった、副作用の原因でもあります。

 

そのため、日頃かゆみ止めとして抗ヒスタミン薬を飲まれている方が、抗ヒスタミン薬を含んだかぜ薬を一緒に飲んだ場合、眠気やだるさなどの副作用が強く出てしまう場合があります。

 

そのようなことを防ぐためにも、受診した際は、自分が日頃飲んでいる薬を医師に伝えるのはもちろんのこと、薬の専門家である薬剤師にも伝え、飲み合わせをしっかり確認してもらうようにしましょう。