体温の測り方のはなし

2015年 3月 15日 日曜日

本日は体温の測り方のはなしです。

先日、娘のクラスにアメリカから帰国した転校生が来ました。
時節柄体調を崩したのか、発熱し保健室に行って検温をしたそうですが、体温計を見てびっくりしたそうです。
“え?!脇で測るの?口でしょ?” と。
その話を聞いた娘は、 “え?!口で測るの?脇でしょ?”とびっくりしたそうです。

体温は、体内の温度が反映される場所で測るのが一般的です。
体に負担をかけずに簡単に検温できる場所として、ワキ(腋窩)、口(舌下)、耳、直腸など体の表面に近い場所が用いられています。
私自身体温は脇で測るのが一般的と思っていましたが、検温部位は国によって違うようです。
実際、欧米では口(舌下)or耳が主流であり、国によっては家庭に1人1本の体温計があり、直腸で検温する国もあるようで、むしろ日本のように脇で測る国は少数の様です。
ではなぜ、日本は脇で検温するようになったのか・・・・?
明治時代に、医学の先進国であったドイツから体温計が輸入されていた頃は日本でも口腔内で検温していたそうです。大正時代までは水銀式体温計は高価であり、病院でも備えている数は少なく、色んな人が交互に使うため不衛生だということから、簡便で皆が使っても衛生的で且つ抵抗なく測れる場所として脇の下で測られるようになったそうです。
また、脇の下は動脈も近く、検温には適した場所だったという事です。

今は家庭で使用する体温計も、脇用、耳用、口(舌下)用など様々な種類があります。
測定する部位ごとに検温に必要な時間や方法が異なり、得られる温度も異なります。平熱も部位により違うため、それぞれの部位の平熱を知る必要があります。
熱が出なければ体温計の出番はなかなかないと思いますが、健康な時に正しい測り方で自分の平熱を知っておくという事は、健康管理の上では大切なことですね。

ひな祭りのはなし

2015年 3月 1日 日曜日

もうすぐひな祭りですね。
ひな人形を飾り、桃の花や菱餅を供えて女の子の成長を願うひな祭りですが、今回は桃の花、菱餅についてのお話です。

桃の花「白桃花」と呼ばれる生薬で、利尿剤やむくみの解消、下剤として用いられることがあるようです。桃を食べたときに捨てるあの種を割ってみると、中から数個の種が出てきます。これはトウニンと呼ばれる、アミグダリンなどを含む生薬です。桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン )、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)、潤腸湯(ジュンチョウトウ)、大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)などの漢方薬に含まれています。
果肉はおいしいですよね。桃の実にはビタミンC、カリウム、食物繊維のペクチンなどが含まれ、肌をきれいにしたり老化防止のはたらきがあったり、桃のジューシーな果肉は不足した体液を補い、皮膚に潤いを与えてくれます。カリウムには血圧を下げる作用があり、食物繊維のペクチンも多く含まれるので、便秘軽減にも効果が期待できそうですね。また、桃の葉には、タンニンやマグネシウム・カリウムなどが含まれ、日本では、古くから「桃湯」が親しまれています。お店では“うるおい成分 桃の葉エキス入り”と謳った化粧水や入浴剤も売られています。
桃には目立った栄養素はあまりないけれど、女性をきれいにしてくれる要素がたくさんあり、身近で汎用されていますね。

さて、雛祭りカラーとして定着している、白、
赤色(桃色)桃の花をイメージしています。さて、白、緑は何をイメージしているのでしょうか?
白は純白の雪緑は健康、新緑がイメージされ、この3色でもって春の情景が表現されています。
これらの3色ですが、赤(桃色)はクチナシが原料、白はヒシの実、緑はヨモギが原料となっています。
3色の意味にも諸説ありますが、次のようになります。

●赤……山梔子(クチナシの実):魔除け/解毒作用…桃の花をイメージ
●白……ヒシの実:子孫繁栄、長寿/血圧低下…清浄、純白の雪をイメージ
●緑……ヨモギ:厄除け/増血作用…健康、新緑をイメージ
(くらしの歳時記 http://allabout.co.jp/gm/gc/220699/)
クチナシ茶、ヒシの実茶、ヨモギ茶といった健康茶の名前も耳にしますね。

赤色の原料となっているクチナシの完熟果実を乾燥させた山梔子(サンシシ)は漢方薬の黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)や加味逍遙散(カミショウヨウサン)、清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)などにも含まれています。

春を無事に迎えられたことを喜び、“これからも皆が元気で過ごせますように”と願うひな祭りも、健康を意識してみると、いつもとちょっと違った味わいになるのではないでしょうか。

くすりと食べ物のはなし

2015年 2月 15日 日曜日

これから日に日に春の陽気となり、心もはずんできますね。

今回はお酒を含めた食物とくすりのお話です。

まず、お酒でくすりを飲んではいけないことは、テレビなどを含め、かなり周知されてきていることと思います。ただ、くすりの中には、お酒では飲んではいなくても、お互いに影響を与えるものもあります。

 

 

 

 

 

 

・アルコールでくすりの働きが強く出る可能性があるもの
催眠鎮静剤・抗不安薬、精神神経用剤、糖尿病用剤、解熱鎮痛薬、抗てんかん薬など
・アルコールが分解されるのを抑えるので頭痛や嘔吐、顔面紅潮など不快な作用が出る可能性があるもの
一部の抗生物質製剤、一部の抗がん剤など
・アルコールで血圧低下などが起こる可能性のあるもの
狭心症治療薬など

また、お酒以外にも、コーヒー、紅茶、緑茶にはカフェインが多く含まれているので、やはり注意が必要なくすりもあります。

・カフェインの分解が抑えられ、イライラしたり不眠などが起こる可能性があるもの
抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬、催眠鎮静薬、一部の抗生物質など
・カフェインがくすりの体内代謝を抑える可能性のあるもの。
強心剤、気管支拡張剤など
・カフェインでくすりの濃度が上がり、鎮痛効果や出血傾向が強まる可能性があるもの
解熱鎮痛・抗血栓薬など

他にも、牛乳と飲むとくすりのはたらきが低下をしたり、副作用が現れやすくなるものもあります。

飲み物では、グレープフルーツジュースと飲むとくすりが強く効きすぎてしまったりするものもありますが、オレンジやレモン、みかんではそういったことが起こる可能性は低いと言われています。

食べ物では、納豆、緑黄色野菜、クロレラ、チーズ、マグロ、などで影響を受ける薬などもあります。

最近は口の中に入れると溶けて、水なしや少量の水、唾液等で飲みこむタイプのくすりも出ていますが、それ以外のくすりはコップ1杯程度のお水か白湯で飲むようにしましょう。

前述したすべてのくすりで起こるわけではありませんが、飲食物や健康食品などでの飲み合わせで心配なことがありましたら、医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか?

参考資料:くすりの適正使用協議会