グレープフルーツのはなし

2013年 7月 15日 月曜日

みなさんこんにちは!今回は、駆け出し実習生時代にあったエピソードをご紹介します

食べ物と薬の飲み合わせ…一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?中でも、グレープフルーツと高血圧治療薬の一種であるCa拮抗剤の相互作用は有名ですね。
薬剤師からは服薬指導の際、患者さんに注意喚起を行います。
実習中、アムロジピンの処方が出ている患者さんに、
グレープフルーツとの併用は避けてくださいね」との服薬指導を行ったところ、

「私柑橘系の果物が好きなのに、食べられなくなるなんて寂しいわ~。」
「ご近所さんからいっぱいおみかん頂いたところなのに~。」
「高血圧の人はグレープフルーツ食べちゃいけないって聞いてるから、今までも食べてないわよ。」
とのお答えが。

おやおや???
薬の飲み合わせが有名になるのはいいことですが、患者さんの誤解も多いようです。

このグレープフルーツCa拮抗薬の併用、いったい何がいけないのでしょうか?

難しく言えば、
グレープフルーツに含まれているフラノクマリンという物質がCa拮抗薬の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、体内の薬物濃度が上昇する危険性があるため、併用注意」となっています。

平たく言えば、
グレープフルーツに含まれる物質によって薬の代謝が遅くなるので、
必要以上に血圧が下がってしまう危険性がありますよ!」ということです。

まずポイントとして、

すべての柑橘類にフラノクマリンが含まれているわけではない

ということ。

フラノクマリンが含まれている、つまりCa拮抗薬と併用注意となるのは、グレープフルーツ、ブンタン、スウィーティ―など。一方、バレンシアオレンジ、レモン、かぼす、温州みかん等はCa拮抗薬と併用しても薬の作用が強くなることはありません

そして、グレープフルーツ等がCa拮抗薬と併用注意である理由は「薬の代謝酵素を阻害するから」であって、「高血圧だから」ではないのがお分かりでしょうか?
グレープフルーツを食べると血圧が上がるから良くない、と勘違いされている方も多いようですが、
グレープフルーツ自体が血圧を上げることはありません。(もちろん、下げることもありません。)

薬の作用が強くなるから注意が必要、ということを覚えてくださいね。

ただし、高血圧の薬には、Ca拮抗薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬ACE阻害薬利尿薬等、様々な種類がありますが、
この中でグレープフルーツとの相互作用に関連するのはCa拮抗薬のみ。

Ca拮抗薬以外の種類の高血圧のお薬を飲まれている方は、グレープフルーツとの相互作用を気にすることはないのです。

ご自身が高血圧のお薬を服用中で、自分が服用している薬がどの種類に当てはまるのか不明な際は、薬剤師に尋ねてみてくださいね。

かといって、
「じゃあCa拮抗薬さえ飲んでなければ問題ないのね!」
と安心することはできません…
グレープフルーツは、Ca拮抗薬のほかにも、抗血小板剤(血をサラサラにするお薬)や免疫抑制剤(免疫を抑えるお薬)といった他の病気で使う薬の作用にも影響します!!

ご自身の服用されている薬は何なのか?グレープフルーツとの併用は大丈夫か?
疑問に思ったら気軽に薬剤師に尋ねてみてくださいね

チャのはなし

2013年 7月 1日 月曜日

私の大好きなお茶について。
最近ではゴボウ茶とうもろこしのヒゲ茶、・・・さまざまなが市販され、親しまれているが、「お茶」と聞いて、我々日本人がまず思い浮かべるのは日本茶(緑茶)だろう。

緑茶紅茶ウーロン茶「カメリアシネンシス」というツバキ科の茶の樹の葉。これらのお茶はみな同じ葉っぱからつくられている事を初めて聞いたとき、私は完全に耳を疑った
紅茶とウーロン茶は、色の濃さの違いはあれ、ともに「茶」色だ。
同じ茶葉なのになぜ緑茶だけあんなにきれいな黄緑色になるのか。
ざっくり言うと、発酵の工程の違いだそうだ。

不発酵茶(緑茶)
半発酵茶(ウーロン茶)
発酵茶(紅茶)
後発酵茶(プーアル茶など)・・・静岡県茶商工業協同組合HPより

緑茶のきれいな色は、「茶葉のもつ酵素を失活させ、酸化を防ぐことで固有の緑色を保たせている」ということだ。
発酵食品が健康にいいとクローズアップされてはいるが、発酵させないことによりきれいな緑色と甘みを保持した日本茶が私は大好きだ

その一方で、「茶」は嗜好品以外にも広く使用されている。
現在では、お茶の有効成分は洗浄剤や消臭剤、殺菌剤、染料、酸化防止剤にも利用されているそうだ。

また医薬品としても開発途上という。一体どんな薬が開発途上にあるのか?と調べてみると…あった!!
『ポリフェノンE』 米国食品医薬品局(FDA)で認可されている。
調べてみると、これは、茶葉から抽出・精製した茶カテキンを90%以上含む高純度の茶カテキン製剤だそうだ。
ポリフェノンEの軟膏製剤はウイルス性皮膚疾患であるコンジローマの治療薬であるという

現在、このポリフェノンEを開発した三井農林株式会社は、米国立がん研究所(NCI)と共同でポリフェノンEを使った、
肺や前立腺などのがん予防薬・治療薬の臨床試験にも取り組んでいるそうだ。がん領域での新薬にも期待したい・・・三井農林株式会社HPより

        ☆☆≡★★≡

予防医学と漢方薬のはなし

2013年 6月 15日 土曜日

皆様は『予防医学』という言葉を聞いたことはありますか?

病気にならないように予防するのが『予防医学』です。
病気の予防はもちろん大事ですが、病気の症状が進むのを遅らせることや再発を防ぐこと、身体的・精神的健康の増進をすることも予防に含まれます。最近、テレビや雑誌などで健康情報が紹介されていますよね。

情報が沢山あるので、どれが自分に合う情報なのか選ぶのが難しくなっていると日々感じています今日は、私が予防医学の大切さに気付くきっかけとなった漢方薬についてお話ししたいと思います!!

=================================================================

漢方薬は、2種類以上の生薬を組み合わせて作られているお薬です。
では生薬とは何か?と言うと・・薬効成分が含まれているさまざまな天然の植物、動物や鉱物を薬用に使えるように調製した物をいいます。
どういう物が生薬になるかというと、例えばミカンの皮、うるち米、カキの殻、石膏などがあります。

「ミカンの皮やカキの殻が効くのかな??」「漢方って飲みにくそう・・・」と思いますよね。
実は私もそう思っていました。でも漢方薬を飲みはじめてすぐ、今まで病院で貰っていた西洋薬では良くならなかったお腹の症状が嘘みたいに落ち着きました体質に合っているからか、味も気にならずに飲めました。
続けているうちに風邪も引きにくくなっていましたよ

これらがきっかけで、病気にならないように心身を維持することがとても重要だと痛感しました。
この頃は自分の体質も分かって来たので、自分に合った食材や調理方法、日々の生活で予防に繋がるような注意事項も少しずつ見付かってきました。

                                           現在は食生活の欧米化が進み、ストレスも過剰な社会ですので栄養のバランスがとれた食生活や、心を和ませる生活を心がけることが重要になっています。漢方薬心身のバランスの崩れや歪みを元に戻すお手伝いをするので、予防方法の一つではないかと私は考えます。  

      
ただし漢方薬の大きな特徴として個々の体質で服用する薬が決まる事から、
同じ風邪の症状でも人によって薬が違うことがあります。
体質に合わない漢方薬を飲むと却って調子が悪くなることがあるので、
誰かにあげたり、逆に貰って飲んだりしないでくださいね!

また、注意して頂きたいのが、中には漢方薬には向かない症状もあることです。
飲んでも良くならない、或いはひどくなった場合はすぐに医師に御相談下さい!!